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名花二輪 二
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「うるさいのぅ、奴隷の分際で。この娘は生意気で妾たちに逆らうのじゃ。これは罰なのじゃ」
「罰ならもう充分だろう! 許してやれ!」
アレクサンダーは怒りに燃えて叫んだ。彼自身奴隷の身分に堕とされ、耐えがたい拷問のような調教をあたえられてかなり虚勢されてきたが、それでも今は興奮しているせいか、怯むことはなかった。
ピロテスは内心、感嘆した。
今までにもさらわれてきた幾多の良家の子女を見てきたが、どれほど高慢で気位のたかい者でもピロテスの厳しい調教によって誇りを砕かれ、気概をうしない、最後には命じられれば唯々諾々としたがう本物の奴隷に堕ちていったものだ。
アレクサンダーのような人間は初めて見た。
驚愕を顔に出さないようにしてピロテスは嗤った。
「ほほほ、おまえも奴隷の分際で生意気な奴じゃな。こちらの躾を先にするかえ。そうじゃ、この娘を助けるなら、おまえがこの娘の罪を償うがよい」
わくわくしながら告げると、アレクサンダーは勇敢にも叫ぶ。
「好きにしろ! だが、彼女は許してやれ!」
ピロテスの胸に奇妙な感慨がわく。
(こんな状況でも正義の味方気どりかぇ)
アレクサンダーの挫かれることなき信念は、ピロテスを感服させつつも、怒りをつのらせる。だが彼の信じる正義というものがピロテスには鼻持ちならない。
「その紳士づらがいつまでもつかのぅ。よかろう、試してやろう」
言うやピロテスはアレシアに目配せする。アレシアは手を振りかざした。
遠くで控えていた館の私兵たちがあらわれ、アレクサンダーを左右から抑え込む。
「彼女を放せ!」
「ふん、おまえは自分のことを心配するがよい」
私兵たちはアレクサンダーを無理やり引きずるようにして連れて行く。振り向きざま、それでもアレクサンダーは尚も叫んだ。
「彼女を放せ!」
アレクサンダーの捨て身の覚悟がこめられた叫び声も、この魔窟のような館のなかでは誰の心にも響くことなく、むなしく廊下に響いて消えていった。
「罰ならもう充分だろう! 許してやれ!」
アレクサンダーは怒りに燃えて叫んだ。彼自身奴隷の身分に堕とされ、耐えがたい拷問のような調教をあたえられてかなり虚勢されてきたが、それでも今は興奮しているせいか、怯むことはなかった。
ピロテスは内心、感嘆した。
今までにもさらわれてきた幾多の良家の子女を見てきたが、どれほど高慢で気位のたかい者でもピロテスの厳しい調教によって誇りを砕かれ、気概をうしない、最後には命じられれば唯々諾々としたがう本物の奴隷に堕ちていったものだ。
アレクサンダーのような人間は初めて見た。
驚愕を顔に出さないようにしてピロテスは嗤った。
「ほほほ、おまえも奴隷の分際で生意気な奴じゃな。こちらの躾を先にするかえ。そうじゃ、この娘を助けるなら、おまえがこの娘の罪を償うがよい」
わくわくしながら告げると、アレクサンダーは勇敢にも叫ぶ。
「好きにしろ! だが、彼女は許してやれ!」
ピロテスの胸に奇妙な感慨がわく。
(こんな状況でも正義の味方気どりかぇ)
アレクサンダーの挫かれることなき信念は、ピロテスを感服させつつも、怒りをつのらせる。だが彼の信じる正義というものがピロテスには鼻持ちならない。
「その紳士づらがいつまでもつかのぅ。よかろう、試してやろう」
言うやピロテスはアレシアに目配せする。アレシアは手を振りかざした。
遠くで控えていた館の私兵たちがあらわれ、アレクサンダーを左右から抑え込む。
「彼女を放せ!」
「ふん、おまえは自分のことを心配するがよい」
私兵たちはアレクサンダーを無理やり引きずるようにして連れて行く。振り向きざま、それでもアレクサンダーは尚も叫んだ。
「彼女を放せ!」
アレクサンダーの捨て身の覚悟がこめられた叫び声も、この魔窟のような館のなかでは誰の心にも響くことなく、むなしく廊下に響いて消えていった。
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