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悪党たちの城 八
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アレシアがその縄を引っ張ると、シャルロットの身体も揺れる。犬の手綱を引くようにして、シャルロットをまさに引き立てていく。
「な、なにをするの!」
シャルロットが叫んだのも無理はない。アレシアは手綱をひっぱり、扉に向かったのだ。
「お散歩だよ」
「いや、いやよ!」
廊下に連れ出されるとわかったシャルロットは恐怖で真っ青になった。
「やめて! やめて! お願い、やめてちょうだい!」
「ふん、散々手こずらせた罰だよ」
アレシアの目は残虐な悦びに、ほとんど濡れている。
かぼそい身体でシャルロットは、それでも必死に抗ったが、どうにもならず、無理やり引きずりだされていく。
いくら悪人のあつまりの魔窟のような館であっても、そこには行き交う使用人もいれば、春を買いに来た客もおり、なんらかの事情で出入りしている外部の者、シャルロットと同じく攫われてきた者も歩く廊下である。
幾つかの人目がある場所を、シャルロットは無残にも、手を後ろで縛られ、胸元を割るように縄をかけられるという全裸よりも刺激的な格好で歩かされた。
すれ違った客らしき中年男は、シャルロットの異様な格好を見るや目を見張り、好色さを隠そうともせずシャルロットの白い裸体をねっとりとした目で撫でまわすように見る。
盆をかかげた館のボーイらしき青年は、こういった光景には慣れているようで、一瞬気を引かれたが、すぐ目を伏せ通り過ぎていく。
館の奴隷女の一人が、彼女もまた厳しい調教を受けるべく連れて行かれる途中だったのだろう、調教師に腕を取られて抗っていたのが、シャルロットを見るや、真っ青になり、力なくうなだれてしまう。
ピロテスとアレシアはシャルロットを、人が一番通る辺りまで連れてくると、柱に縛りつけた。中庭に面したところなので、かすかに風が感じられ、木蓮の葉が揺れているのが見える。庭仕事をしている使用人の目にもシャルロットの白い肌が見えているだろう。
「東洋の娼館ではな、言うことを聞かぬ我が儘な娼婦には水鏡という罰をあたえるらしい」
白亜の柱に縛り付けられたシャルロットの肌を、南国の陽光がかすかに嬲る。怯えたシャルロットの横顔は、日の光を受けて神々しいほどに美しく見えた。
「な、なにをするの!」
シャルロットが叫んだのも無理はない。アレシアは手綱をひっぱり、扉に向かったのだ。
「お散歩だよ」
「いや、いやよ!」
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「やめて! やめて! お願い、やめてちょうだい!」
「ふん、散々手こずらせた罰だよ」
アレシアの目は残虐な悦びに、ほとんど濡れている。
かぼそい身体でシャルロットは、それでも必死に抗ったが、どうにもならず、無理やり引きずりだされていく。
いくら悪人のあつまりの魔窟のような館であっても、そこには行き交う使用人もいれば、春を買いに来た客もおり、なんらかの事情で出入りしている外部の者、シャルロットと同じく攫われてきた者も歩く廊下である。
幾つかの人目がある場所を、シャルロットは無残にも、手を後ろで縛られ、胸元を割るように縄をかけられるという全裸よりも刺激的な格好で歩かされた。
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盆をかかげた館のボーイらしき青年は、こういった光景には慣れているようで、一瞬気を引かれたが、すぐ目を伏せ通り過ぎていく。
館の奴隷女の一人が、彼女もまた厳しい調教を受けるべく連れて行かれる途中だったのだろう、調教師に腕を取られて抗っていたのが、シャルロットを見るや、真っ青になり、力なくうなだれてしまう。
ピロテスとアレシアはシャルロットを、人が一番通る辺りまで連れてくると、柱に縛りつけた。中庭に面したところなので、かすかに風が感じられ、木蓮の葉が揺れているのが見える。庭仕事をしている使用人の目にもシャルロットの白い肌が見えているだろう。
「東洋の娼館ではな、言うことを聞かぬ我が儘な娼婦には水鏡という罰をあたえるらしい」
白亜の柱に縛り付けられたシャルロットの肌を、南国の陽光がかすかに嬲る。怯えたシャルロットの横顔は、日の光を受けて神々しいほどに美しく見えた。
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