紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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悪党たちの城 七

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 隣でアレシアが鼻を動かしたのが知れる。
 シャルロットの白い背から、ふしぎな香がただよってきているのだ。香水の残り香なのかと思ったが、どうやらシャルロット自身からかおってきているようだ。
「ふむ」
 少し近づいて身をかがめ、臭いを嗅いでみて、ピロテスはあらためて感じた。
「おまえから奇妙な香がするのぅ? 麝香に似ておるが……、だが違うのぅ」
 シャルロットはびくり、と身体を震わせたが、たどたどしく説明した。
「う、生まれつきみたいなんです……。わ、私にはわからないのですが」
「ふうむ」
 そういう特異体質の人間がいる。腋臭のようなものだが、通常の腋臭は悪臭ととらえられる場合がおおいが、稀に芳香のような美しい匂いとなる場合もある。
 東洋には昔、身体から芳香をはなつ美女がおり、その香で皇帝の寵を得たという。芳香異体というが、まさにシャルロットはそれに当てはまるようだ。
(これは、商品としては計り知れない価値があるのぅ)
 しかし、今はまず高慢なシャルロットの鼻をへし折ってやる方が先だと、アレシアに目配せする。
「ああっ、やめ、やめて!」
 身をすくめてちぢこまっているシャルロットを無理やり立たせ、容赦なくその白い裸体に縄をめぐらせる。
「いやぁ!」
「暴れるんじゃないよ、せっかくのお綺麗な肌に傷がつくだろう」
「やめて!」
「うるさいよ!」
 調教師として縛り方も心得ているアレシアは、必死にもがくシャルロットをねじ伏せ、あっという間に縄をかけていく。
 最初に両手首を身体の後ろで縛りつけ、首筋から、初々しい乳房にも無残に亜麻色の細縄を食い込ませる。
 シャルロットの嗚咽が響く。
「股間はそのままがよかろう。今回は上半身だけでよいわ」
 啜り泣くシャルロットだが、罪人のように縛られ、後ろ手をしばっている縄先にアレシアが紐縄をつなぐ。
「ほら」
「ああ!」 
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