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闇の撮影会 十
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必死の努力で、どうにかアレクサンダーが泣き笑いのような顔を浮かべて、この闇の撮影会はいったん終了し、ようやくハサピスの腕から逃れられたが、男は最後に身体の熱を未練がましく突きつけてきた。
唾棄してやりたいのをこらえ、アレクサンダーは人間の本能で急いで衣で身体を覆う。
「よい写真が撮れたのぅ。特に最後の笑顔は絶品じゃ。嫌がっている心が垣間見えているのがまた良い。これは、その道の好事家らに受けそうじゃ。この写真を見ただけで、高値を付けてくる客はごまんといるじゃろう」
他人に見られるのかと思うとぞっとするが、さらにピロテスはとんでもないことを口にした。
「この写真は、やがておまえの妻や身内、同僚や上官、部下、学生時代の友人知人らのところに送りつけてやろう」
アレクサンダーは頭から氷水をぶっかけられた気がして、悲鳴のような叫び声をあげていた。
「や、やめてくれ! そ、そんなことは……、それだけはやめてくれ!」
見ず知らず人間に見られるもの辛いが、それでも自分のことを知らない赤の他人だと思えばまだ救いもある。
だが、アディーレやカールに、先ほどの猥褻極まりない姿を見られるなど、考えただけでも羞恥と恥辱に卒倒しそうだ。ましてや、ダールケやヴルブナに知られるなど、想像すると愧死しそうだ。さらに学生時代の友人たちにまで見られたら……。最悪のことを考えると、生きてはいけない気がする。いや、生きていてはいけない。
「わ、私は死んだことになっているはずだ! もし私が生きているのが露見すれば、おまえたちの罪も明るみになるのだぞ! おまえたちだとて困るはずだ!」
「ほほほほほほ! 妾たちの力はそれほど弱くはないわ。誰もここを突き止めることはできぬ」
「わ、私の家は貴族だ。そして私は高級将校だ。祖国ではそれなりに力がある。国家機関が黙っていない」
ふん! 小馬鹿にしたようにピロテスは胸を反らした。
「貴族で高級将校なら、なおさら、親戚たちは身内の恥をさらしたくはあるまい。警察や国家機関を使うために事情を説明できるかぇ? むしろもみ消そうとするはずじゃ。おまえの名が永遠に恥にまみれることになるだけじゃ。まぁ、もう遅いがな」
唾棄してやりたいのをこらえ、アレクサンダーは人間の本能で急いで衣で身体を覆う。
「よい写真が撮れたのぅ。特に最後の笑顔は絶品じゃ。嫌がっている心が垣間見えているのがまた良い。これは、その道の好事家らに受けそうじゃ。この写真を見ただけで、高値を付けてくる客はごまんといるじゃろう」
他人に見られるのかと思うとぞっとするが、さらにピロテスはとんでもないことを口にした。
「この写真は、やがておまえの妻や身内、同僚や上官、部下、学生時代の友人知人らのところに送りつけてやろう」
アレクサンダーは頭から氷水をぶっかけられた気がして、悲鳴のような叫び声をあげていた。
「や、やめてくれ! そ、そんなことは……、それだけはやめてくれ!」
見ず知らず人間に見られるもの辛いが、それでも自分のことを知らない赤の他人だと思えばまだ救いもある。
だが、アディーレやカールに、先ほどの猥褻極まりない姿を見られるなど、考えただけでも羞恥と恥辱に卒倒しそうだ。ましてや、ダールケやヴルブナに知られるなど、想像すると愧死しそうだ。さらに学生時代の友人たちにまで見られたら……。最悪のことを考えると、生きてはいけない気がする。いや、生きていてはいけない。
「わ、私は死んだことになっているはずだ! もし私が生きているのが露見すれば、おまえたちの罪も明るみになるのだぞ! おまえたちだとて困るはずだ!」
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「わ、私の家は貴族だ。そして私は高級将校だ。祖国ではそれなりに力がある。国家機関が黙っていない」
ふん! 小馬鹿にしたようにピロテスは胸を反らした。
「貴族で高級将校なら、なおさら、親戚たちは身内の恥をさらしたくはあるまい。警察や国家機関を使うために事情を説明できるかぇ? むしろもみ消そうとするはずじゃ。おまえの名が永遠に恥にまみれることになるだけじゃ。まぁ、もう遅いがな」
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