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闇の撮影会 四
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さらに、見たくもない肉体の中心にあるそれは、醜い身体のなかで最も醜く、アレクサンダーを怖気させた。
「アレクサンダー、いつまでも意地を張っておらず、ほら、こちらへ来い。ハサピスが待っておるではないか」
にやにやと笑い、隠そうともせずすべてを見せつけてくるハサピスに、アレクサンダーは軽蔑しかない。こんな男と一緒に写真を撮られるなどとんでもない。
「い、いやだ! 来るな!」
不利きわまりない状況に置かれても、アレクサンダーの生来の誇り高さが、このことをどうしても受け入れられないのだ。
「こ、こんな、こんな下品な真似をしてなにが楽しいのだ! おまえは、おまえたちはそれでも人間なのか!」
ピロテスが眉を丸める。怒っているというのではなく、呆れているのだ。
「この期におよんで、まだそんな偉そうな口をきくとは。来ないのなら、もはや力ずくじゃ。衛兵!」
しびれを切らしたピロテスが叫ぶと、いつの間にか廊下で控えていた兵士が二人入ってきた。二人とも半袖と半ズボンの褐色の制服を着ており、腰には短銃がある。この館には不似合いな装いだが、幾人もの捕虜を置くからには、こういった荒事を成す男たちが必要なのだ。
彼らは常に、呼べば聞こえる辺りで控えており、今までのこともすべて聞かれていたのかと思うと、アレクサンダーは屈辱に奥歯を嚙みしめた。
「よせ! は、はなせ!」
アレクサンダーの抗議も抵抗もむなしく、両腕をとられ、ピロテスの前に引きずりだされる。慌ててまとっていた衣はくずれ落ちそうになりながらも、かろうじてアレクサンダーの肌に絡みつき、アレクサンダーの中心を守っているのが唯一の救いだ。
「ふうむ……」
白い裸体に花びらのようにからまる衣は、残酷なピロテスであっても、すぐにちぎり落とす気になれないものを感じさせたようだ。
腕を組んで、絵でもみるように鑑賞する。
「良いのう。いかにも凌辱される姫君のようじゃ。マヌエル、ここも撮っておくがよい」
「アレクサンダー、いつまでも意地を張っておらず、ほら、こちらへ来い。ハサピスが待っておるではないか」
にやにやと笑い、隠そうともせずすべてを見せつけてくるハサピスに、アレクサンダーは軽蔑しかない。こんな男と一緒に写真を撮られるなどとんでもない。
「い、いやだ! 来るな!」
不利きわまりない状況に置かれても、アレクサンダーの生来の誇り高さが、このことをどうしても受け入れられないのだ。
「こ、こんな、こんな下品な真似をしてなにが楽しいのだ! おまえは、おまえたちはそれでも人間なのか!」
ピロテスが眉を丸める。怒っているというのではなく、呆れているのだ。
「この期におよんで、まだそんな偉そうな口をきくとは。来ないのなら、もはや力ずくじゃ。衛兵!」
しびれを切らしたピロテスが叫ぶと、いつの間にか廊下で控えていた兵士が二人入ってきた。二人とも半袖と半ズボンの褐色の制服を着ており、腰には短銃がある。この館には不似合いな装いだが、幾人もの捕虜を置くからには、こういった荒事を成す男たちが必要なのだ。
彼らは常に、呼べば聞こえる辺りで控えており、今までのこともすべて聞かれていたのかと思うと、アレクサンダーは屈辱に奥歯を嚙みしめた。
「よせ! は、はなせ!」
アレクサンダーの抗議も抵抗もむなしく、両腕をとられ、ピロテスの前に引きずりだされる。慌ててまとっていた衣はくずれ落ちそうになりながらも、かろうじてアレクサンダーの肌に絡みつき、アレクサンダーの中心を守っているのが唯一の救いだ。
「ふうむ……」
白い裸体に花びらのようにからまる衣は、残酷なピロテスであっても、すぐにちぎり落とす気になれないものを感じさせたようだ。
腕を組んで、絵でもみるように鑑賞する。
「良いのう。いかにも凌辱される姫君のようじゃ。マヌエル、ここも撮っておくがよい」
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