79 / 192
落花検分 八
しおりを挟む
苦しげに、切なげに、ウラジミールが喘ぐ。
榛色のほつれ毛が額や首すじにうっすらかいでいる汗によってはりついているのが、妙に生々しく煽情的だ。
最初はよく見えなかったが、彼はちょうど石の柱の前に立たされていた。
見る者の疑問を見計らったように画面方向が変わり、ウラジミールの横向きの姿が映し出された。
時間がたつにつれ画像が微細になり、ウラジミールの声も艶めかしさを増していく。
この時代、音声が出る動画というのはまだ稀少である。総統を撮影した宣伝映画をアレクサンダーは何度か見たが、あれは現代ではかなり高度な技術を誇る母国であるからこそ見れるものである。よもやこんな僻地で見るとは思わなかった。しかも、あろうことか、こんな異常な趣味の悪いポルノグラフィーを見るとは。
「うう……ん、あっ、ああっ!」
ウラジミールは柱に自ら腰を押し付けているように見える。じきに、見えるのではなく、事実、彼が臀部を柱に押し付けていることがわかった。石の柱を相手に悶えているのだ。
(まさか……)
ウラジミールがもどかしげに腰をゆするところが大きく映し出されるにつれ、どうやら柱に小さな棒状のものがとりつけてあることが、アレクサンダーには見て取れた。それは白っぽい色で、どうやら象牙のようだ。象牙製の性具である。
つまり、ウラジミールは石の柱に取り付けてある張形によって犯されているのだ。いや、今や彼みずから快を得ようとしている。
そのことに気付いた瞬間、アレクサンダーは小刀で胸を突かれたような痛みと衝撃を覚えた。
自尊心のかたまりのようだった驕慢な少年の、淫らきわまりないこの姿は、まさしくアレクサンダー自身を投影しているものに思えたのだ。
暴力によって抵抗を封じこめられ、強制的に快楽をあたえられ、自我を喪失しつつある誇りたかいこの少年は、今のアレクサンダーである。
「……げ、下種なやり方だな!」
せいいっぱい気強く言い放ったが、言葉はどうしても震えてしまう。
榛色のほつれ毛が額や首すじにうっすらかいでいる汗によってはりついているのが、妙に生々しく煽情的だ。
最初はよく見えなかったが、彼はちょうど石の柱の前に立たされていた。
見る者の疑問を見計らったように画面方向が変わり、ウラジミールの横向きの姿が映し出された。
時間がたつにつれ画像が微細になり、ウラジミールの声も艶めかしさを増していく。
この時代、音声が出る動画というのはまだ稀少である。総統を撮影した宣伝映画をアレクサンダーは何度か見たが、あれは現代ではかなり高度な技術を誇る母国であるからこそ見れるものである。よもやこんな僻地で見るとは思わなかった。しかも、あろうことか、こんな異常な趣味の悪いポルノグラフィーを見るとは。
「うう……ん、あっ、ああっ!」
ウラジミールは柱に自ら腰を押し付けているように見える。じきに、見えるのではなく、事実、彼が臀部を柱に押し付けていることがわかった。石の柱を相手に悶えているのだ。
(まさか……)
ウラジミールがもどかしげに腰をゆするところが大きく映し出されるにつれ、どうやら柱に小さな棒状のものがとりつけてあることが、アレクサンダーには見て取れた。それは白っぽい色で、どうやら象牙のようだ。象牙製の性具である。
つまり、ウラジミールは石の柱に取り付けてある張形によって犯されているのだ。いや、今や彼みずから快を得ようとしている。
そのことに気付いた瞬間、アレクサンダーは小刀で胸を突かれたような痛みと衝撃を覚えた。
自尊心のかたまりのようだった驕慢な少年の、淫らきわまりないこの姿は、まさしくアレクサンダー自身を投影しているものに思えたのだ。
暴力によって抵抗を封じこめられ、強制的に快楽をあたえられ、自我を喪失しつつある誇りたかいこの少年は、今のアレクサンダーである。
「……げ、下種なやり方だな!」
せいいっぱい気強く言い放ったが、言葉はどうしても震えてしまう。
0
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる