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魔婦の訓育 六
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そんなアレクサンダーにとって、これは本当に拷問でしかない。
「よ、よせ……」
こんな異形の、男か女かもわからぬ化け物のようなものに、いいように弄ばれる屈辱にアレクサンダーの最後の理性が必死に反発するが、肉体はピロテスの指と口と舌に陥落されてしまう。
背後のマヌエルの腕も依然、ゆるがない。
アレクサンダーは磔にされた殉教者のように、ただ責め苦に耐えるしかない。
ピロテスの舌技は巧みだった。
アレクサンダーを煽り、追い詰め、もはやこれまでか、と思うぎりぎりのところまで狩りたてておきながら、急所をはずして、さらに甘美な呵責の時間を長引かせるのだ。
される方もたまらないが、する方も相当の労苦だろうに、それを嬉々としてやりこなしているのだ。
「ふぅ……、うう……ん」
アレクサンダーの苦痛の喘ぎは、いつしか切なくも甘いものに変わっていく。
「あっ……、ああっ……、も、もぉ……」
自分自身の心も魂も、ピロテスの邪悪な口に吸いこまれていくようだ。
いけないと、アレクサンダーの頭の片隅で叫び声が聞こえても、身体は完全にピロテスに奪われてしまっていた。
「どう、じゃ? 妾の舌は?」
一瞬、燃えるようだった股間の突起がつめたい空気にさらされ、それがアレクサンダーには辛い。はやくまた温もりに包まれたい、と望んでいる自分がいる。
「ほれ、ここで言うのじゃ。して、もっとして、早くして、と」
ピロテスの哄笑がアレクサンダーの鼓膜をつらぬく。
「そら、どうした? 言わぬか?」
今度は指で先端をいじられる。
「あっ! ああっ……」
脳髄まで溶けていくような快感の津波に、アレクサンダーは完全に翻弄されていた。
「本当に強情な奴じゃのぅ。調教のしがいがありそうじゃ」
さすがにそれ以上は責めることはなく、ピロテスはアレクサンダーにふたたび温もりをあたえ、焦らすことはなかった。
「はぁ……! ああっ……!」
絶頂をむかえて四肢をこわばらせた瞬間、アレクサンダーは敗北感に襲われた。
目尻に感じる滴りには、苦痛と屈辱とはべつの意味のものも含まれていた。
アレクサンダー本人は決して認めないが、狂おしい快感ゆえの涙でもあったのだ。
調教は、始まったばかりだった。
「よ、よせ……」
こんな異形の、男か女かもわからぬ化け物のようなものに、いいように弄ばれる屈辱にアレクサンダーの最後の理性が必死に反発するが、肉体はピロテスの指と口と舌に陥落されてしまう。
背後のマヌエルの腕も依然、ゆるがない。
アレクサンダーは磔にされた殉教者のように、ただ責め苦に耐えるしかない。
ピロテスの舌技は巧みだった。
アレクサンダーを煽り、追い詰め、もはやこれまでか、と思うぎりぎりのところまで狩りたてておきながら、急所をはずして、さらに甘美な呵責の時間を長引かせるのだ。
される方もたまらないが、する方も相当の労苦だろうに、それを嬉々としてやりこなしているのだ。
「ふぅ……、うう……ん」
アレクサンダーの苦痛の喘ぎは、いつしか切なくも甘いものに変わっていく。
「あっ……、ああっ……、も、もぉ……」
自分自身の心も魂も、ピロテスの邪悪な口に吸いこまれていくようだ。
いけないと、アレクサンダーの頭の片隅で叫び声が聞こえても、身体は完全にピロテスに奪われてしまっていた。
「どう、じゃ? 妾の舌は?」
一瞬、燃えるようだった股間の突起がつめたい空気にさらされ、それがアレクサンダーには辛い。はやくまた温もりに包まれたい、と望んでいる自分がいる。
「ほれ、ここで言うのじゃ。して、もっとして、早くして、と」
ピロテスの哄笑がアレクサンダーの鼓膜をつらぬく。
「そら、どうした? 言わぬか?」
今度は指で先端をいじられる。
「あっ! ああっ……」
脳髄まで溶けていくような快感の津波に、アレクサンダーは完全に翻弄されていた。
「本当に強情な奴じゃのぅ。調教のしがいがありそうじゃ」
さすがにそれ以上は責めることはなく、ピロテスはアレクサンダーにふたたび温もりをあたえ、焦らすことはなかった。
「はぁ……! ああっ……!」
絶頂をむかえて四肢をこわばらせた瞬間、アレクサンダーは敗北感に襲われた。
目尻に感じる滴りには、苦痛と屈辱とはべつの意味のものも含まれていた。
アレクサンダー本人は決して認めないが、狂おしい快感ゆえの涙でもあったのだ。
調教は、始まったばかりだった。
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