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魔婦の訓育 一
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「香油を使ってみるとするかのぅ」
背後の棚からピロテスが手に取ったのは、小さな小瓶だった。
これみよがしに見せると、アレクサンダーの目の前でねっとりとした透明色の液体を指にからませる。ほのかに百合の花のような香をアレクサンダーは感じた。
「よ、よせ!」
これからされることを想像して、アレクサンダーは身体をいっそうこわばらせたが、両側から自分を抑え込む腕の力はゆるまない。さらに背後のマヌエルの腕もいっそう力強くなる。
「マヌエル、もっと脚を開かせるがよい」
召使の腕は主の命にしたがい、アレクサンダーは頬が火を吹くのを感じた。
「うう……っ」
「どれ、じっとしておれ……。ふうむ、ここも金色なのじゃな」
今更気づいたようにピロテスの指はアレクサンダーの股間をかざる金の糸を撫でつける。濡れた指の感触にアレクサンダーはおぞましくなるが、逃れることはできない。
ピロテスは嬉々としてドレスが皺になるのもかまわず膝をつき、いっそう丹念にアレクサンダーの禁忌の花園をのぞきこむ。
「あっ……」
誰にも触れてほしくない箇所を、つまむがごとく触られ、そこにも妖しげな液体を塗られていくことがわかり、アレクサンダーは動ける範囲でのけぞった。
「ふふふふふ……、喜んでおるわ、ちっちゃな坊やが。いや、これは、おてんばなお嬢さんかのぅ。のぅ、これは、どちらなのじゃ?」
アレクサンダーにではなく、その秘密の美肉に問うように囁くピロテスのすがたは、まさに魔婦である。
「あ、よせ!」
掌でつつみこむようして、熱い息を吹きかけられ、アレクサンダーは眉を寄せる。苦悶にのたうつ美しい顔は、見る者にはげしく嗜虐の欲望を燃えたたせることを、本人はまるで自覚できていない。
「つぎは、こちらじゃ」
「あっ、ああっ!」
さらに指に香油を滴らせると、ピロテスは今度はアレクサンダーの草むらのはざまにある谷間に指をはこぶ。
背後の棚からピロテスが手に取ったのは、小さな小瓶だった。
これみよがしに見せると、アレクサンダーの目の前でねっとりとした透明色の液体を指にからませる。ほのかに百合の花のような香をアレクサンダーは感じた。
「よ、よせ!」
これからされることを想像して、アレクサンダーは身体をいっそうこわばらせたが、両側から自分を抑え込む腕の力はゆるまない。さらに背後のマヌエルの腕もいっそう力強くなる。
「マヌエル、もっと脚を開かせるがよい」
召使の腕は主の命にしたがい、アレクサンダーは頬が火を吹くのを感じた。
「うう……っ」
「どれ、じっとしておれ……。ふうむ、ここも金色なのじゃな」
今更気づいたようにピロテスの指はアレクサンダーの股間をかざる金の糸を撫でつける。濡れた指の感触にアレクサンダーはおぞましくなるが、逃れることはできない。
ピロテスは嬉々としてドレスが皺になるのもかまわず膝をつき、いっそう丹念にアレクサンダーの禁忌の花園をのぞきこむ。
「あっ……」
誰にも触れてほしくない箇所を、つまむがごとく触られ、そこにも妖しげな液体を塗られていくことがわかり、アレクサンダーは動ける範囲でのけぞった。
「ふふふふふ……、喜んでおるわ、ちっちゃな坊やが。いや、これは、おてんばなお嬢さんかのぅ。のぅ、これは、どちらなのじゃ?」
アレクサンダーにではなく、その秘密の美肉に問うように囁くピロテスのすがたは、まさに魔婦である。
「あ、よせ!」
掌でつつみこむようして、熱い息を吹きかけられ、アレクサンダーは眉を寄せる。苦悶にのたうつ美しい顔は、見る者にはげしく嗜虐の欲望を燃えたたせることを、本人はまるで自覚できていない。
「つぎは、こちらじゃ」
「あっ、ああっ!」
さらに指に香油を滴らせると、ピロテスは今度はアレクサンダーの草むらのはざまにある谷間に指をはこぶ。
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