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虹の間 四
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「し、知るか! そんなものを受ける気はない!」
「では、主人の命令に反したということで、アレクサンダー様を鞭で打つことになります」
眉が本当に困ったように顰められる。
「いくらでも打て! だが、調教など死んでも受けるものか!」
ホホホホホ。
ピロテスの笑い声がまた響く。
「こやつ、なかなか強情そうじゃな。ウラジミールとかいう小僧にくらべたら手ごたえありそうじゃ。おもしろい」
「ウラジミールはどうしたのだ?」
先ほど連れていかれた少年の名を聞いて、アレクサンダーは気をひかれた。ピロテスはウラジミールのことを知っているのだ。
「あれも調教を受けるのじゃ。あれはな、〝黒蓮〟じゃ」
ピロテスの顔に嘲りが浮かぶ。
「黒蓮?」
白蓮とされた自分とおなじことかと一瞬思ったが、ピロテスの黒い目にになにやらひどく嫌なものを感じ、アレクサンダーは背にかすかなこわばりを感じた。
「そう。黒蓮じゃ」
「なんなのだ、黒蓮というのは?」
「ホホホホ。白蓮が殿下の妻となるのなら、黒蓮は奴隷たちの妻となるのじゃ」
言葉の内容に心底怖気だったが、感情は出さないようにアレクサンダーは己を制御した。
さらに気になるのは、ピロテスは奴隷‶たち〟と言わなかったか。
アレクサンダーの疑問にこたえるかのようにピロテスは笑う。
「ホホホホ。そうじゃ、奴隷たちの公共物。最下層の男娼婦とされるのじゃ。おまえが選ばれた花なら、ウラジミールは落とされた花じゃ」
愉快そうに言うピロテス。男でありながら女の心を持つこの異形と異装の小権力者は、ひどく残酷な性分を秘めているようだ。
「な、なんてことを……!」
会ってすぐ引き離されたウラジミールにはべつに友情も仲間意識もないが、それでも、そんな目に遭わされていいわけはないし、そう聞くと、もともと潔癖で、公正であることを自負してきたアレクサンダーの胸に同情心が沸いてくる。
「では、主人の命令に反したということで、アレクサンダー様を鞭で打つことになります」
眉が本当に困ったように顰められる。
「いくらでも打て! だが、調教など死んでも受けるものか!」
ホホホホホ。
ピロテスの笑い声がまた響く。
「こやつ、なかなか強情そうじゃな。ウラジミールとかいう小僧にくらべたら手ごたえありそうじゃ。おもしろい」
「ウラジミールはどうしたのだ?」
先ほど連れていかれた少年の名を聞いて、アレクサンダーは気をひかれた。ピロテスはウラジミールのことを知っているのだ。
「あれも調教を受けるのじゃ。あれはな、〝黒蓮〟じゃ」
ピロテスの顔に嘲りが浮かぶ。
「黒蓮?」
白蓮とされた自分とおなじことかと一瞬思ったが、ピロテスの黒い目にになにやらひどく嫌なものを感じ、アレクサンダーは背にかすかなこわばりを感じた。
「そう。黒蓮じゃ」
「なんなのだ、黒蓮というのは?」
「ホホホホ。白蓮が殿下の妻となるのなら、黒蓮は奴隷たちの妻となるのじゃ」
言葉の内容に心底怖気だったが、感情は出さないようにアレクサンダーは己を制御した。
さらに気になるのは、ピロテスは奴隷‶たち〟と言わなかったか。
アレクサンダーの疑問にこたえるかのようにピロテスは笑う。
「ホホホホ。そうじゃ、奴隷たちの公共物。最下層の男娼婦とされるのじゃ。おまえが選ばれた花なら、ウラジミールは落とされた花じゃ」
愉快そうに言うピロテス。男でありながら女の心を持つこの異形と異装の小権力者は、ひどく残酷な性分を秘めているようだ。
「な、なんてことを……!」
会ってすぐ引き離されたウラジミールにはべつに友情も仲間意識もないが、それでも、そんな目に遭わされていいわけはないし、そう聞くと、もともと潔癖で、公正であることを自負してきたアレクサンダーの胸に同情心が沸いてくる。
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