紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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婚前診断 十一

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 ステラの揶揄に笑い声でかえし、ヴルブナは上半身と同様に剥き出しになったアレクサンダーの脚を撫でる。
「太腿も女みたいに生白いな」
 ぺちぺちと揶揄うように、ヴルブナは上官の太腿をたたいた。その侮辱的な態度に、アレクサンダーは罵声をあげることもできないでいる。
「さあて、お次はいよいよ、最後の砦をくずすか」
 ヴルブナはアレクサンダーの下着を引っ張る。任務だと言いながら、あきらかに彼はこの状況を楽しんでおり、完全に悪のりしているようだ。
「ほうら……脱がしますよ、モール少佐。伯爵」
「あら、この人貴族なの?」
「そう。身分は伯爵さ。少佐にして伯爵」
「どうりで気品があると思ったわ」
 ステラの納得したような感心したような声が今はアレクサンダーの耳に痛い。
「大佐の恥ずかしいところがレディたちに見られてしまいますよぉ。いいんですか?」
 ステラの嬌声にまじってダールケ大佐の笑い声も響く。
 部下の幼稚で愚劣な態度をいさめるどころか、この好色な男は、いっしょになって喜んでいるのだ。
 ヴルブナは焦らすように、アレクサンダーの下着の端を少し引っ張っては、もとに戻す。
「神秘のヴェールの向こうにいるのは、男の子かな、女の子かな?」
 アレクサンダーはいっそ意識が完全に消えていれば、と願った。
「ん、もう。もったいぶらないでよ!」
「それじゃ、おまえがやれよ」
「あら、それは……」
 大佐の下種な笑い声が聞こえた。
「わかった。では、こうしよう。ヴルマン中尉とステラ嬢ふたりでやればいい。ヴルマンがそっちを持って、ステラ嬢がこちらをもって、私が合図をしたら、二人同時に思いっきり下着を引き下ろす。それでいこう」
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