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婚前診断 六
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大佐は笑ってマダムを見、それからステラを見た。マダムもステラも笑う。ヴルブナの卑しい笑い声も耳にわずらわしい。
「結婚が決まるまでも、いろいろ君のことで妙齢の娘を持つ親から訊かれたよ。うちの娘はどうかと、取り持ってほしいとね。今までにもそれとなく君に紹介したと思うが」
そういえばそういうこともあったか。夜会やパーティーで、若い娘を紹介されたことがあったが、挨拶しただけで終わった。まるで気にも止まらなかった。興味がなかったのだ。
「もしや、君、女に興味がないのかい?」
大佐がわざとらしく声を低めた。
たしかに興味はないが、この場合、その質問には、なにやら淫靡で陋劣な響きがこもっている。
アレクサンダーは今度は本当に眉をしかめずにいられなかった。
だが、そこで視界がぼやけていった。
ダールケ大佐の醜い顔が卑しい笑いをつくる。唾棄してやりたいほどの嫌悪感がわくが、相手の顔はますますぼやけていく。
ひどく身体がだるい。戦争で戦ったあとでもこれほどの疲労感は覚えなかった。
座っていることすらもはやできない。
駄目だ……!
そう思ったとき、すでにアレクサンダーの意識はなかった。
そのあとのことは、悪い夢の世界のことのようだった。
「結婚が決まるまでも、いろいろ君のことで妙齢の娘を持つ親から訊かれたよ。うちの娘はどうかと、取り持ってほしいとね。今までにもそれとなく君に紹介したと思うが」
そういえばそういうこともあったか。夜会やパーティーで、若い娘を紹介されたことがあったが、挨拶しただけで終わった。まるで気にも止まらなかった。興味がなかったのだ。
「もしや、君、女に興味がないのかい?」
大佐がわざとらしく声を低めた。
たしかに興味はないが、この場合、その質問には、なにやら淫靡で陋劣な響きがこもっている。
アレクサンダーは今度は本当に眉をしかめずにいられなかった。
だが、そこで視界がぼやけていった。
ダールケ大佐の醜い顔が卑しい笑いをつくる。唾棄してやりたいほどの嫌悪感がわくが、相手の顔はますますぼやけていく。
ひどく身体がだるい。戦争で戦ったあとでもこれほどの疲労感は覚えなかった。
座っていることすらもはやできない。
駄目だ……!
そう思ったとき、すでにアレクサンダーの意識はなかった。
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