昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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月下凌辱図 七

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「よせ! いやだ! いやっ!」
 どれほど抗ってもゆるされることはなく、牛雄の無骨な手によって、背後の岩に手をつくかたちで押さえつけられてしまう。仁は悔しげにうめいた。
 面白そうに見ていた勇は、仁の背後にまわって剥き出しになっている臀部を撫であげる。
「あっ……ああっ」
 望は笑いながら、仁の奥を検分する。
 ほのかに淡い桜色めいたそこが、望にはよく見えた。
「ん……! んん」
 すでに幾度となく強制的に開かれた蕾だが、まだ純潔さも可憐さもなくしてはいない。望にはすべてが見えた。
 ふしぎなほど初々しく慎ましく、汚らわしさなど微塵も感じさせない。むしろ、これから道具で弄ぶのかと思うと、けなげさすら感じさせて、つい心が弱くなるのを望は必死におさえた。
 わいてくる憐憫を振り払い、心を鬼にして道具を押し付ける。
「うっ……」
 岩に手をついた格好のまま、仁が苦しそうに呻く。それを無視して、ゆっくりと押し込む。先ほどの淫らな遊戯のせいで、仁の蕾はほどよく潤っており、侵入物を拒むことができないのだ。
「物欲しげな蕾だ……いやらしい。おあずけが効いたようですね」
「ち、ちが……! これは……ちがう!」
 望はほくそ笑みながら、道具を上下、左右に、ゆっくりと動かした。
「あっ、ああっ……!」
 望の手の動きに、他愛もなく仁はくずれてゆく。
 かつて、仁は望にとっては決して手に入らない、高嶺の花だった。せめて少年の本能のままに夢のなかで凌辱することで心身ともに自らをなぐさめ、満足させていた。その永遠の片思いの相手と思っていた仁が、今は望の手によって淫らに悶えているのだ。
 痛快の極みである。望は嬉しさのあまりにほとんど涙ぐみそうになる。
「あっ……、ああっ、も、もぉ……、もぉ、やめ……」
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