昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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金襴の新床 七

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 男とは思えぬほどに柔らかな雪白の尻を、四本の手でおさえこむ。
 二人の手肌の熱を感じて、仁はなにを思うのか、畳に額をこすりつけるようにして顔を伏せ、ふるえつづけている。
 望は指をさらに深く蕾に押し入れた。
「ううっ……! や、やめ……!」
 熱く柔らかい蕾の花弁が、望の指を食う。
 望はゆっくりと指を動かす。
「は、はぁっ! ああっ! あああっ……、やめ、やめてくれ!」
 望は自分より年長の大人の男を、指一本であえがせられる喜びにひたった。
 仁の身体の反応に充分手ごたえを感じて、望は指を増やす。
「んー、んん……」
 仁は畳に頭を押し付けたまま、左右に振る。
「ううっ……! あっ、ああっ、ああっ」
 望の指の動きに合わせて、しなやかな身体をふるわせ、肩や足を微妙に動かす。
 腰は勇がしっかりと抑えこみ、持ち上げるようにしているので、臀部が頭より高くなるという羞恥のきわみのような恰好で、仁は辛そうに喘ぎつづけた。
「も、もぉ……、やめ……」
「腑抜けたことを言うな、仁。おまえは〝贄〟になったのじゃぞ」
 崇が冷酷に宣言した。
「おまえは望が当主となるために尽くすのじゃ。望に背いてはならない。それが贄となったものの使命だ」
 望は歓喜と欲望に全身がふるえるのを感じた。
 贄とはそういうものらしい。
 つまり、仁は望のものなのだ。望が仁の主なのだ。
「仁よ、おまえは望の欲望のすべてを受け入れなくてはならない」
 祖父崇の言葉は、望にとっては福音だった。
「仁さん、腰をあげて。もっと」
 望はもはや躊躇もなく言う。
「くぅ……」
 悔しそうに呻きながらも、仁は贄としての義務を果たそうと、腰をふるわせながら、心持ち上げた。
 ぱしん!
 次の瞬間、和室に肉を打つ音がひびきわたった。
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