昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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時分の花 一

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 美しさでは仁の方がまさるかもしれないが、仁の美しさは女性的で儚げな美しさであり、今の時代の風潮には合わない美しさである。若い娘なら好もしく思っても、その親たち、特に父親たちのなかには眉を顰める者もいるだろう。
 だが勇のいかにも勇壮でたくましい男性的な美しさは、まさに今の日本が求める理想の男性美である。
 残酷な気性も問題にはならない。むしろ今の時代は、その残酷なことを平気でやれる強さを持つ男をのぞむのだ。勇は雨沼を梟雄と言ったが、勇こそは梟雄であり、とんでもない大奸の資質を秘めているのかもしれない。
「先生、どうしたというのかな? そんなに尻をゆらして。まったく、目の毒だな」
 勇はおのれの欲望を満たすためなら、平気で人を踏みにじれるのだ。仁とのときもそうだった。
「お、お願いです……、も、もう」
 香寺の声はかすれていた。
「もう……、なんだ?」
 どこまでも意地悪く勇は言う。
 しばしの沈黙のあと、香寺は呻いた。
「ぬ、抜いて……、もう……、これを、抜いて」
「抜いていいのか、先生? 抜いたら、つらいのはあんただぞ」
 けらけらと勇は笑った。街の破落戸ごろつきのようで、勇らしくないようでいて、またいかにも勇らしい笑い方だ。
「も、もう……本当に嫌なんです。ぬ、抜いてください」
「嫌か? そうでもないだろう? ほら、」
「あっ」
 勇がにじりよるようにして、香寺の股間へ手を伸ばした。
「や、やめ……!」
「そのままにしていろ」
 うつぶせで尻を上げるというとんでもない恰好をつづけさせ、勇は香寺の股間を好きにまさぐる。
「うう……」
「後ろに入れられてこれほど感じているのだから、やはり素質は充分にあるな。仁のときは慣らすのに時間がかかったものだが」
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