昭和幻想鬼譚

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
42 / 190

日影の若葉 十

しおりを挟む
「はぁぁぁっ……!」
 今、章一は今まで生きてきた世界の崩壊を経験しているのだ。望もまたそうだった。
 自分でも、こんなことができるのが不思議だ。
 祖父が自分のものを咥えたとき、おぞましさに気を失いそうだった。内心で、よくもこんなことができるものだと軽蔑していた。それほど憎んでいた行為を、今自分はいとこにしているのだ。
「ああっ、あんっ、望ちゃん、駄目、駄目ぇ!」
 声が大きくなってきたのに慌てた。
 いったん離れると、望は章一の口に、とっさに手に触れたものを押し込んでやる。
 章一は一瞬目を見張ったが、口に詰められたものが自分の下穿きだと気づいたのか、悔しそうな目をした。怒りすら帯びた瞳だが、次の瞬間には悲しそうに潤んで、望を睨むことを止めた。
「ほら」
 臀部をはたき、先ほどと同じ姿勢を要求すると、章一はふるえながらも、四つん這いになる。
「もっと尻上げろよ」
 数秒のとまどいのあと、章一の白い尻が心持ち上げられる。傍目には、望に向かって自ら尻を突き出しているように見えるだろう。
(こいつだって、望んでいる。待っているんだ)
 もともと気弱で優柔不断なところがある章一だが、今のように望に欲望をぶつけられても、本気で逆らおうとしていないところが、どことなく伝わってくる。
 口では嫌だと言いながらも、死に物狂いで望を拒絶しようとはしない。
 望の目の前にあるのは、少年の、一見無垢な身体だが、どこか媚態を感じないこともない。
 それは芸者や、街のカフェの前で一服している女給たちにも見られるものだ。
 少年らしい純情そうな顔と身体の下に、思いもよらず淫蕩なものを感じて、望はいっそう気が昂ぶってきた。
 おとなしくなったので、声を荒げるなよ、と釘をさしてから口を自由にしてやる。やはり章一の声を楽しみたいのだ。
「もう一度、最初からだな」
「あっ、やぁっ!」
 蕾を舐めなおす。
 ぴちゃり、ぴちゃり、と聞こえるか聞こえないかの水音が室に響く。
「はぁっ……! ううっ、くぅっ……」
 苦しく切なそうな喘ぎがつづき、やがて恍惚となった声を章一はほとぼしらせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...