314 / 360
終わらぬ宴 一
しおりを挟む
「な、なにを言っているんだ、ナルキッソス! 馬鹿なことを言ってないで、すぐこの場を去れ!」
「ふん。そんな恥さらしなものすごい格好しておきながら、僕にお説教? そういうところが嫌なんだよ」
「ナ、ナルキッソス……」
そこにいたのは、もはやリィウスの可愛い弟ではなかった。見知らぬ他人、いや、恐ろしい怪物だった。
「ほほほほほ。そんなに欲しいのなら、しかたないわね、今夜一夜、おまえに貸してあげるわ。好きなだけ兄を玩具にするがいいわ」
マルキアの名を持つエリニュスが笑って告げる。
リィウスは、夢ならば早く覚めてくれることをひたすら祈っていた。
「うれしいな」
「よ、よせ!」
伸びてきた弟の、いやナルキッソスという名の化け物の手を、リィウスは不自由な身体で必死に身をよじって振りはらおうとした。相手はリィウスのはかない抵抗をせせら笑った。
「なんだよ、兄さん、僕より、そんな剣闘士の背中の方がいいのかい? やっぱり淫乱だな」
「さ、さわるな!」
だが、さらにナルキッソスは近づく。
「へぇ……、背中に道具が取りつけてあるんだね」
「ええ、そうよ。その道具で、おまえの兄さんたら、昨夜から何度も楽しんだのよ。『ああ、遂く、遂く、いい、いい』と、それはもう、あられもない……」
エリニュスの嘲笑が鼓膜に響いてくる。リィウスは耳をふさぎたくなったが、両手は頭上で縛られたままだ。
「おまえの兄さんたら、見た目はこんな上品そうなお綺麗な顔をして、本性はとんでもない淫売だわ」
エリニュスはわざとらしげに黄金の眉をひそめた。
「大丈夫なの、おまえのその身体で満足させられる? 娼館でも、毎夜のごとく男をくわえこんでいたというわよ。まったく、天性の男娼ね」
「楽しみなぐらいだよ。待っていて、兄さん、今から僕がうんと可愛がってあげるからね」
「お、おまえは気が狂っている!」
リィウスの怒りをこめた絶叫を、ナルキッソスは鼻で笑った。
「ふん。そんな恥さらしなものすごい格好しておきながら、僕にお説教? そういうところが嫌なんだよ」
「ナ、ナルキッソス……」
そこにいたのは、もはやリィウスの可愛い弟ではなかった。見知らぬ他人、いや、恐ろしい怪物だった。
「ほほほほほ。そんなに欲しいのなら、しかたないわね、今夜一夜、おまえに貸してあげるわ。好きなだけ兄を玩具にするがいいわ」
マルキアの名を持つエリニュスが笑って告げる。
リィウスは、夢ならば早く覚めてくれることをひたすら祈っていた。
「うれしいな」
「よ、よせ!」
伸びてきた弟の、いやナルキッソスという名の化け物の手を、リィウスは不自由な身体で必死に身をよじって振りはらおうとした。相手はリィウスのはかない抵抗をせせら笑った。
「なんだよ、兄さん、僕より、そんな剣闘士の背中の方がいいのかい? やっぱり淫乱だな」
「さ、さわるな!」
だが、さらにナルキッソスは近づく。
「へぇ……、背中に道具が取りつけてあるんだね」
「ええ、そうよ。その道具で、おまえの兄さんたら、昨夜から何度も楽しんだのよ。『ああ、遂く、遂く、いい、いい』と、それはもう、あられもない……」
エリニュスの嘲笑が鼓膜に響いてくる。リィウスは耳をふさぎたくなったが、両手は頭上で縛られたままだ。
「おまえの兄さんたら、見た目はこんな上品そうなお綺麗な顔をして、本性はとんでもない淫売だわ」
エリニュスはわざとらしげに黄金の眉をひそめた。
「大丈夫なの、おまえのその身体で満足させられる? 娼館でも、毎夜のごとく男をくわえこんでいたというわよ。まったく、天性の男娼ね」
「楽しみなぐらいだよ。待っていて、兄さん、今から僕がうんと可愛がってあげるからね」
「お、おまえは気が狂っている!」
リィウスの怒りをこめた絶叫を、ナルキッソスは鼻で笑った。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる