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三
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トュラクスは、どういう動きが、上になった人間に快をあたえるか、相当修練したようだ。いや、させられたのだろう。
「そうだ。もっと腰を動かせ。ただ動かすんじゃない。相手を喜ばせることを常に考えて、腰や尻をひねるんだ」
ぺちぺち、と小馬鹿にしたように、ウリュクセスがトュラクスの臀部をたたく。
トュラクスが屈辱に身体を焦がしていることが、リィウスにも伝わってくる。彼の心が触れ合っている肌から、リィウスのなかにも伝播してくるのだ。
「はっ、ああっ……」
リィウスは切なく喘いだ。
ウリュクセスがそれを見て満足そうに笑った。
「どうやら全部入ったようだね。これからもっと良くしてあげよう。ほれ!」
「うううううううっ……!」
リィウスの下から聞こえてきたのは、耐えきれない慟哭めいた、わめき声だった。猿ぐつわをとおして響くその凄絶な声は、リィウスの胸をかきむしる。
トュラクスもまた哭いているのだ。
女々しい、などとは死んでも思えない。魂をかきむしるような哀哭の声に、リィウスの身体も震える。痛ましさと、悲しさと、共感に。そして、罪悪感に身が縮む。自分の存在もトュラクスを貶めることに加担しているのだ。
(あっ、ああ、う、動かないでくれ……!)
心の内で叫んではみても、ウリュクセスの絶え間ない叱責に、トュラクスは動かざるを得ない。
世にも淫らに腰をひねり、背をゆらし、己にまたがる麗人に快楽をあたえることを強制されているのだ。
「すごい腰のひねりだな。妙な色気が匂ってきそうだ」
「筋肉もすごいわね」
「乗っている方もすさまじいな。みろ、あの肌の艶かしいこと。どんな高級遊女でも、あんな色香に満ちたのはいないぞ」
下卑た批評が遠慮なく起こる。
「まだまだ遅いな、この馬は。ほら、走れ!」
ウリュクセスが笑いながらトュラクスの尻を平手で討つ。
全身を屈辱と羞恥に烈火のごとく燃やしながら、トュラクスは自棄になったようにその場で身体を上下に動かし、左右にひねり、リィウスに悲鳴をあげさせた。
「そうだ。もっと腰を動かせ。ただ動かすんじゃない。相手を喜ばせることを常に考えて、腰や尻をひねるんだ」
ぺちぺち、と小馬鹿にしたように、ウリュクセスがトュラクスの臀部をたたく。
トュラクスが屈辱に身体を焦がしていることが、リィウスにも伝わってくる。彼の心が触れ合っている肌から、リィウスのなかにも伝播してくるのだ。
「はっ、ああっ……」
リィウスは切なく喘いだ。
ウリュクセスがそれを見て満足そうに笑った。
「どうやら全部入ったようだね。これからもっと良くしてあげよう。ほれ!」
「うううううううっ……!」
リィウスの下から聞こえてきたのは、耐えきれない慟哭めいた、わめき声だった。猿ぐつわをとおして響くその凄絶な声は、リィウスの胸をかきむしる。
トュラクスもまた哭いているのだ。
女々しい、などとは死んでも思えない。魂をかきむしるような哀哭の声に、リィウスの身体も震える。痛ましさと、悲しさと、共感に。そして、罪悪感に身が縮む。自分の存在もトュラクスを貶めることに加担しているのだ。
(あっ、ああ、う、動かないでくれ……!)
心の内で叫んではみても、ウリュクセスの絶え間ない叱責に、トュラクスは動かざるを得ない。
世にも淫らに腰をひねり、背をゆらし、己にまたがる麗人に快楽をあたえることを強制されているのだ。
「すごい腰のひねりだな。妙な色気が匂ってきそうだ」
「筋肉もすごいわね」
「乗っている方もすさまじいな。みろ、あの肌の艶かしいこと。どんな高級遊女でも、あんな色香に満ちたのはいないぞ」
下卑た批評が遠慮なく起こる。
「まだまだ遅いな、この馬は。ほら、走れ!」
ウリュクセスが笑いながらトュラクスの尻を平手で討つ。
全身を屈辱と羞恥に烈火のごとく燃やしながら、トュラクスは自棄になったようにその場で身体を上下に動かし、左右にひねり、リィウスに悲鳴をあげさせた。
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