燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 あまりの恥辱に視界が真っ赤に染まる。だが、どれほど抗っても、どうにもならず、異物の侵入をゆるすしかない。
「ううっ、ううっ、ううううっ!」
 リィウスは自分のされていることが信じられなかった。
 人前でほぼ全裸に剝かれ、あろうことか男の背にまたがり、性具を挿入されつつあるなど、悪夢の世界の出来事のようだ。
「ああっ……!」
「見かけによらず君は貪婪どんらんだねぇ。もう半分ほど入ってしまったよ」
 ウリュクセスの言葉にリィウスは首を横に振った。
 男たちによって封じ込められた身体で、それでも両脚でふんばって、なんとかしてこの態勢から逃れようとしたが、それもかなわず、放った力は、むなしく疲労となって戻ってきてリィウスの絶望感をつよめる。 
「さぁ、あと半分だ。全部入れるようにするからね」
 慈悲のかけらもないウリュクセスの言葉に、リィウスは無念の嗚咽をはなった。
 惨めだが、これほど無残な目にあわされていると、もはや体裁をつくろう気力もなく、リィウスは啜り泣いた。
 見るからに高貴な青年の痛ましくも淫靡な姿に、観客はいっそう沸く。
「ほらほら、もうちょっと、もうちょっとだよ」
 笑いながらも、ウリュクセスの声には真摯しんしなものさえ感じられて、リィウスの両側の男たちも緊張した面持ちになってきている。不思議な光景だ。
 リィウスの官能をたかめる大事なところに来ていることを、彼らは察していたのだろう。
「は……あぁ……」
 リィウスを堪らなくさせるのは、先日むりやり乗せられた木馬とちがって、肌の下に熱い肉体があることだ。
 まぎれもなく血と骨を持った背に触れているこの居心地の悪さ。リィウスはいたたまれなさにまた啜り泣いた。
「ほうら、着いたぞ」
 ウリュクセスに言われた瞬間、脚と臀部にはっきりと他人の肌の熱を感じた。
「ああ……」 
 今、自分の身体とトュラクスの身体が重なったのだ。リィウスは、羞恥に神経が焼き切られそうなところまで来ていた。
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