150 / 360
七
しおりを挟む
(そうだ……。俺はこいつが嫌いだった。俺のことをいつも見下すような冷ややかな目で見ていたこいつが)
馬鹿にしたような、蒼い冷たい目で自分を見る美貌の学友。けれど、姿を見ないときは、何故か気になって仕方なかった。病にでもかかったのか、何かあったのかとやけに気を揉んだときもあった。
認めることはけっしてできないが、つねにリィウスに心を奪われていたのだ。そのことを、ディオメデスは自覚することはできなかった。今も認めはしない。
目の前の相手は、あくまでも自分に気を揉ませる美しく忌々しい男でしかない。
だから、リィウスに嫌われていることに傷ついている自分を無視するよう努めた。
「う……」
無言のまま、ディオメデスはリィウスを褥の上に押し倒していた。
リィウスは本能的に抵抗しようとしたが、すぐに立場をわきまえたのか、力を抜いた。
当然だ。自分は娼館へ来てするべきことをしようとしているのだから、逆らえるわけがない。半ば意地になったような想いに、ディオメデスはせきたてられていた。
「あ……、あうっ」
薄衣を剥ぎ取り、あらわれた白い身体を抱きしめ、胸の突起に唇を落とす。
連日の荒淫が嘘のように美しい清らかな身体に、内心感動しつつも、わざと愛撫の手を荒々しくした。
「はぁ……っ」
リィウスが苦痛に眉をゆがめる。止めた手で、髪をまさぐる。絹のようななめらかな感触が、たまらない刺激をもたらす。
鳶色の髪を幾度となく撫で、項に顔をうずめ、相手のかぐわしい体臭に酔った。
(俺のものだ)
そんな欲望と執着に凝った想いだけが頭を占める。それでいいのだと思った。
まちがっても、好きだ、愛しているなどと言ってはいけない。思ってもいけないのだ。
まちがっても、男娼相手に、まして敵意を抱きあっていた学友相手に恋などしてはいけない。
ただ、情欲を発散させることだけを目的として、リィウスの身体をまさぐりつづけた。
「うう……ん」
リィウスが苦しげに息を吐き、逃れられないと知りつつも首を拒絶に横に振る。
「い、いやだ……、いや」
「じっとしていろ」
「駄目、駄目だ!」
ディオメデスの行為はリィウスを驚かせ、悶えさせた。
馬鹿にしたような、蒼い冷たい目で自分を見る美貌の学友。けれど、姿を見ないときは、何故か気になって仕方なかった。病にでもかかったのか、何かあったのかとやけに気を揉んだときもあった。
認めることはけっしてできないが、つねにリィウスに心を奪われていたのだ。そのことを、ディオメデスは自覚することはできなかった。今も認めはしない。
目の前の相手は、あくまでも自分に気を揉ませる美しく忌々しい男でしかない。
だから、リィウスに嫌われていることに傷ついている自分を無視するよう努めた。
「う……」
無言のまま、ディオメデスはリィウスを褥の上に押し倒していた。
リィウスは本能的に抵抗しようとしたが、すぐに立場をわきまえたのか、力を抜いた。
当然だ。自分は娼館へ来てするべきことをしようとしているのだから、逆らえるわけがない。半ば意地になったような想いに、ディオメデスはせきたてられていた。
「あ……、あうっ」
薄衣を剥ぎ取り、あらわれた白い身体を抱きしめ、胸の突起に唇を落とす。
連日の荒淫が嘘のように美しい清らかな身体に、内心感動しつつも、わざと愛撫の手を荒々しくした。
「はぁ……っ」
リィウスが苦痛に眉をゆがめる。止めた手で、髪をまさぐる。絹のようななめらかな感触が、たまらない刺激をもたらす。
鳶色の髪を幾度となく撫で、項に顔をうずめ、相手のかぐわしい体臭に酔った。
(俺のものだ)
そんな欲望と執着に凝った想いだけが頭を占める。それでいいのだと思った。
まちがっても、好きだ、愛しているなどと言ってはいけない。思ってもいけないのだ。
まちがっても、男娼相手に、まして敵意を抱きあっていた学友相手に恋などしてはいけない。
ただ、情欲を発散させることだけを目的として、リィウスの身体をまさぐりつづけた。
「うう……ん」
リィウスが苦しげに息を吐き、逃れられないと知りつつも首を拒絶に横に振る。
「い、いやだ……、いや」
「じっとしていろ」
「駄目、駄目だ!」
ディオメデスの行為はリィウスを驚かせ、悶えさせた。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる