燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 さすがにこの不安定な状況では暴れることも怖くてできず、リィウスは、無意識で自分をささえる宦官たちの身体にすがりつくようになっていた。左右の手が、自然に、それぞれの宦官の肩をつかむかたちになる。
 侵入してきた物体によって、秘部は熱く燃えだし、そこから引き出された熱によって全身が汗ばんでくる。
「ふぅ……! ああ……!」
 いつしか、悪戯していたタルペイアの指ははなれており、リィウスは自分自身で快楽を求めだしていた。
「はぁ……、うう……」
「そうだ、いい子だ。感じだしているな」
 アスクラが舌を舐めた。褐色の頬には汗が浮いている。
 宦官の彼は、欲望を散じる術を持たない。どれほどリィウスが乱れても、自らリィウスを抱くことはできない。その代わり、巨大な性具によって、リィウスを辱しめ、強制的に欲望を遂げさせることで、自分自身も情欲を発散させようとしているのかもしれない。
「いいか?」
「うう……!」
 リィウスは頬を真赤に燃やし、首を横に振る。だが、中心の芽がたかぶっていることは一目瞭然だ。
 隠すもののない若い肉体は、凌辱者たちをまえに無残な開花をさらけだしている。
「初々しいわねぇ」
 タルペイアが傲慢そうに腕をくんで、笑いながら、リィウスの白い肉体の中心の熱を含んで燃えている箇所を目と言葉でなぶる。
「ああ……、み、見るな!」
「今更、そんな格好ですべてさらけだしておいて、よく言うわね。どれ、手伝ってあげましょうか?」
「さ、触るな!」
 次の瞬間、アスクラは目を見張った。
 この状況で、これほど徹底的にいためつけられながら、リィウスは、あろうことかタルペイアに向かって唾棄したのだ。柘榴荘の女主に向かって。夜の女王に向かって。この影の館の女神に向かって。
 タルペイアの黒眉が吊りあがった。夜空色の瞳が燃えて黒い炎を吹きそうだ。
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