123 / 360
十
しおりを挟む
「あん……違うわ、嫌よ」
タルペイアの声が聞こえたらしく、濡れたような声でサラミスが抗議する。
「どこが違うというのよ、この淫乱、」
タルペイアが笑いながら、二本の指でサラミスの薄紅色の胸の先端をつまみあげる。
「やっ!」
「それは、おまえには物足りないでしょう?」
なんといっても、かなりきわどい行為を、不安定な状況でするので、あまり大きな道具は使わないのだと、タルペイアはウリュクセスに説明した。
「それに、私は大きければ良いという考えには反対ですの」
男根信仰がまかりとおっているローマで、しかも娼婦でありながらこういう発言をするタルペイアを、ウリュクセスは青白い目でおもしろそうに見つめている。
「なるほど。それは一理あるね」
「女を、いえ、男娼をも喜ばすのは、道具の大きさではなくて……愛の技術ですわ」
「ああ……!」
タルペイアの蝋細工のような手が、サラミスの剝きだしの乳房を舞台として、ゆっくりと踊る。
「うう、うう……」
サラミスは頬を上気させ、全身でのけぞり、なにかに耐えるように眉を寄せ、自分をささえる二人の宦官の胸板を、手で必死に押す。だが、彼らはゆらぐことなく、サラミスの力を受けとめている。二人ながら、まるでサラミスという生まれながらの娼婦にして永遠の少女のような女性のすべてを受け入れることを示すように、何も言わず、抗わず、ただサラミスの渾身の力をこめた手を受けとめている。
「ううっ! あっ、ああん……!」
青銅の鐙に着けているサラミスの白い両足が、力を入れたように引きつり、彼女は苦しげに喘いだ。
「はっ、ああっ、あああっ」
青銅の馬は、とうぜん何も云わない。
冷たい無機質の置物の上で、サラミスは一人で悶え、喘ぎ、悦楽の涙をながし、濃密な桃色の吐息をはく。そこには生身の男たちを相手にしたときのように、抱きつく胸も、抱き返してくれる腕もない。ただ物言わぬ馬の彫像にまたがったまま、サラミスは死にものぐるいの様相を見せ、リィウスをいたたまれなくさせた。
黄金の髪が白い背でゆれ、玻璃の玉のような汗が豊満な胸のはざまにしたたる。
タルペイアの声が聞こえたらしく、濡れたような声でサラミスが抗議する。
「どこが違うというのよ、この淫乱、」
タルペイアが笑いながら、二本の指でサラミスの薄紅色の胸の先端をつまみあげる。
「やっ!」
「それは、おまえには物足りないでしょう?」
なんといっても、かなりきわどい行為を、不安定な状況でするので、あまり大きな道具は使わないのだと、タルペイアはウリュクセスに説明した。
「それに、私は大きければ良いという考えには反対ですの」
男根信仰がまかりとおっているローマで、しかも娼婦でありながらこういう発言をするタルペイアを、ウリュクセスは青白い目でおもしろそうに見つめている。
「なるほど。それは一理あるね」
「女を、いえ、男娼をも喜ばすのは、道具の大きさではなくて……愛の技術ですわ」
「ああ……!」
タルペイアの蝋細工のような手が、サラミスの剝きだしの乳房を舞台として、ゆっくりと踊る。
「うう、うう……」
サラミスは頬を上気させ、全身でのけぞり、なにかに耐えるように眉を寄せ、自分をささえる二人の宦官の胸板を、手で必死に押す。だが、彼らはゆらぐことなく、サラミスの力を受けとめている。二人ながら、まるでサラミスという生まれながらの娼婦にして永遠の少女のような女性のすべてを受け入れることを示すように、何も言わず、抗わず、ただサラミスの渾身の力をこめた手を受けとめている。
「ううっ! あっ、ああん……!」
青銅の鐙に着けているサラミスの白い両足が、力を入れたように引きつり、彼女は苦しげに喘いだ。
「はっ、ああっ、あああっ」
青銅の馬は、とうぜん何も云わない。
冷たい無機質の置物の上で、サラミスは一人で悶え、喘ぎ、悦楽の涙をながし、濃密な桃色の吐息をはく。そこには生身の男たちを相手にしたときのように、抱きつく胸も、抱き返してくれる腕もない。ただ物言わぬ馬の彫像にまたがったまま、サラミスは死にものぐるいの様相を見せ、リィウスをいたたまれなくさせた。
黄金の髪が白い背でゆれ、玻璃の玉のような汗が豊満な胸のはざまにしたたる。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる