燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 毒婦が、まさに猛毒のような言葉を朱唇からつむぎだす。リィウスの白い肌がこわばる。
「い、いやだ! やめろ、止めろ!」
「ほら、じっとして。ああ、もう! ベレニケ、ぼさっとしていないで、リィウスをおさえるのよ!」
 命じられてあわててベレニケが前方へまわって、リィウスの上半身をおさえこむ。だが、そうしながらも、彼女の青い目は褥のうえに散らばったサファイアを凝視している。彼女の目も青である。だが、リィウスの深みをもった蒼にくらべると、やや浅い土耳古石ターコイズの色である。
「うう……」
「じっとして。いい子ね」
 タルペイアの指がリィウスの後ろ園を開ける。リィウスは褥に顔を伏せた。もう二度と、顔を上げて世界を見ることができないような気がした。
「はぁ……!」
 最初にリィウスが感じたのは……奇妙な生温かさだった。タルペイアの手の熱を吸ったのか、貴石は意外にもぬるく感じられる。
「あっ……」
 リィウスは思わず声をもらしていた。
 ぐっ……と、蕾はかすかに抵抗しながらも、やがて当てがわれた石を呑みこんでいく。主の意思をまったく無視して。
「はぁ……!」
 あらかじめ塗られた油の湿りを利用して、石はどんどん蕾のなかに落ちていくように楽々と侵入してきた。まだ開かぬはずの花弁だが、強引な侵入者にはなすすべもない。
「ううっ、ううっ!」
「ま、すごい。まだ初心だと思っていたけれど……、ほら、たやすく呑みこんでいくわ。なんて淫乱なのかしらね。見てごらんなさいよ、ベレニケ」
「あら、本当」
 背後で囁かれる淫婦たちの会話にリィウスは恥辱のあまり気を失いそうになった。全身がぶるぶると震える。
「三つまで楽に入ったわよ」
「四つ目は?」
 ベレニケが無邪気そうに訊くのに、タルペイアは、あっさりと答えた。
「入れてみるわ」
「ああ! よ、よせ!」
 リィウスは上半身をのけぞらせた。
「駄目よ、暴れては。ほら、じっとして。五つまで入れるのだからね。いい子ね、坊や」
「い、いやだ! もう、無理だ!」
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