95 / 360
光なき朝 一
しおりを挟む
だるく熱っぽい身体をもてあまし、リィウスはどうにか上半身を起こした。
「水、飲む?」
コリンナの気づかわしげな声にうなずく。
「初めての仕事って、辛いね……」
杯半分ほどの水を飲み干したころを見計らって、そんな声が耳に入ってくる。大人びた口調に苦笑しつつも、もしかしたら彼女の方が自分より大人なのかと思いつつ、リィウスは息を吐く。
「ああ……。これほどとは思わなかった」
初めての勤め、というか、初めて身体の交わりを終えて、リィウスは翌日熱を出してしまった。
無理もない。ディオメデスは一度では許してくれず、そのあともどれだけリィウスが泣いて嫌がっても、行為を強いられた。
覚悟して選んだ仕事だが、まさか初めての客がかつての学友だったとは。しかもお互いに競争意識を燃やし、嫌いあっていた相手だけに、あまりにも衝撃で、肉体的には勿論、精神的にもかなりこたえた。
「三人の人と……だったの?」
それが気になるのだろう。コリンナの翡翠色の瞳が暗い。
「いや……」
リィウスはふたたび息を吐く。
リィウスもあのとき、ディオメデスが満足すれば他の二人の相手をさせられるのかと恐れたが、幸い、といっていいのかどうか、ディオメデスはリィウスをはなすことはなく、夜明けまでかかって凌辱され、二人の相手をすることはなかった。メロペの方は、未練がましくリィウスを欲していたが、ディオメデスが許さなかったのだ。
だが、自分は男娼だ。
この先、求められれば、メロペやアウルスにも身体を開かねばならなくなるのだろう。
「お兄さん……、リィウス、泣かないで」
言われてはじめてリィウスは自分が頬を涙で濡らしていることに気づいた。自分を見上げるコリンナの瞳も濡れている。
コリンナの小さな手が自分の手を取る。
「あ、ああ、すまない、つい」
年下の少女にいたわられている自分が恥ずかしくもあるが、コリンナの手は暖かく、それが今のリィウスにとっては唯一の慰めだった。
「水、飲む?」
コリンナの気づかわしげな声にうなずく。
「初めての仕事って、辛いね……」
杯半分ほどの水を飲み干したころを見計らって、そんな声が耳に入ってくる。大人びた口調に苦笑しつつも、もしかしたら彼女の方が自分より大人なのかと思いつつ、リィウスは息を吐く。
「ああ……。これほどとは思わなかった」
初めての勤め、というか、初めて身体の交わりを終えて、リィウスは翌日熱を出してしまった。
無理もない。ディオメデスは一度では許してくれず、そのあともどれだけリィウスが泣いて嫌がっても、行為を強いられた。
覚悟して選んだ仕事だが、まさか初めての客がかつての学友だったとは。しかもお互いに競争意識を燃やし、嫌いあっていた相手だけに、あまりにも衝撃で、肉体的には勿論、精神的にもかなりこたえた。
「三人の人と……だったの?」
それが気になるのだろう。コリンナの翡翠色の瞳が暗い。
「いや……」
リィウスはふたたび息を吐く。
リィウスもあのとき、ディオメデスが満足すれば他の二人の相手をさせられるのかと恐れたが、幸い、といっていいのかどうか、ディオメデスはリィウスをはなすことはなく、夜明けまでかかって凌辱され、二人の相手をすることはなかった。メロペの方は、未練がましくリィウスを欲していたが、ディオメデスが許さなかったのだ。
だが、自分は男娼だ。
この先、求められれば、メロペやアウルスにも身体を開かねばならなくなるのだろう。
「お兄さん……、リィウス、泣かないで」
言われてはじめてリィウスは自分が頬を涙で濡らしていることに気づいた。自分を見上げるコリンナの瞳も濡れている。
コリンナの小さな手が自分の手を取る。
「あ、ああ、すまない、つい」
年下の少女にいたわられている自分が恥ずかしくもあるが、コリンナの手は暖かく、それが今のリィウスにとっては唯一の慰めだった。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる