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十四
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嗜虐の趣味があるディオメデスにとっては、その行為はひどく魅惑的で、ここ数日、リィウスを凌辱することを夢想して夜は興奮のあまり眠れないときもあったぐらいだ。
だが、実際にこうやって、悪友たちまで巻きこんで視姦の痛みをあたえ、貶め、傷つけて泣かしてみると、奇妙な心持ちになってくる。
腕のなかで羞恥に啜り泣く相手に、自分でもまったく予期しなかった情動がわくのだ。
可愛い……。
そう思っている自分がいる。
いつも気取ったように取り澄まして、いかにも私は高潔です、といった顔で自分たちを見下し、批判顔を向けていたリィウス=トュリアス=プリスクスが、悦楽に負け、誰よりも高い自尊心を打ちくだかれ悔し泣きしている……。自分の腕のなかで。
今までどんな相手を抱いても、こんな気持ちにとらわれたことはなかった。
「うう……ひっく……」
ひとしきり泣くと、リィウスは失っていた自我を取り戻したのか、怒りに燃える目を向けてくる。
その青い怒りの閃光に胸を射抜かれて、ディオメデスは背に雷が走るのを感じた。
美しく気品にあふれているが、生意気で、偉そうで、尊大そうなリィウスの顔。だが、……やはり、可愛い、と思っている自分がいる。
(どうしてやろう、こいつ!)
買われた分際で、主となる自分にそんな不敵な顔を向けてくる相手への復讐めいた欲望もあるが、なにより、ふしぎな喜びの方が強い。そして、やはり激しく湧く想いは、
(可愛い……!)
ディオメデスは思わずリィウスを抱きしめていた。
「あっ……」
突然、抱きすくめられてうろたえたリィウスは抵抗することもできず、ディオメデスの荒々しい抱擁に翻弄され、声も出ないでいる。
荒々しく唇を吸う。
「んん……」
これもめったにない経験だ。ディオメデスはあまり接吻を好まない。情欲を満たすための行為はしても、相手の唇を欲したことはあまりない。
だが、今はひたすら紅薔薇の花弁のようなその唇を求めた。
だが、実際にこうやって、悪友たちまで巻きこんで視姦の痛みをあたえ、貶め、傷つけて泣かしてみると、奇妙な心持ちになってくる。
腕のなかで羞恥に啜り泣く相手に、自分でもまったく予期しなかった情動がわくのだ。
可愛い……。
そう思っている自分がいる。
いつも気取ったように取り澄まして、いかにも私は高潔です、といった顔で自分たちを見下し、批判顔を向けていたリィウス=トュリアス=プリスクスが、悦楽に負け、誰よりも高い自尊心を打ちくだかれ悔し泣きしている……。自分の腕のなかで。
今までどんな相手を抱いても、こんな気持ちにとらわれたことはなかった。
「うう……ひっく……」
ひとしきり泣くと、リィウスは失っていた自我を取り戻したのか、怒りに燃える目を向けてくる。
その青い怒りの閃光に胸を射抜かれて、ディオメデスは背に雷が走るのを感じた。
美しく気品にあふれているが、生意気で、偉そうで、尊大そうなリィウスの顔。だが、……やはり、可愛い、と思っている自分がいる。
(どうしてやろう、こいつ!)
買われた分際で、主となる自分にそんな不敵な顔を向けてくる相手への復讐めいた欲望もあるが、なにより、ふしぎな喜びの方が強い。そして、やはり激しく湧く想いは、
(可愛い……!)
ディオメデスは思わずリィウスを抱きしめていた。
「あっ……」
突然、抱きすくめられてうろたえたリィウスは抵抗することもできず、ディオメデスの荒々しい抱擁に翻弄され、声も出ないでいる。
荒々しく唇を吸う。
「んん……」
これもめったにない経験だ。ディオメデスはあまり接吻を好まない。情欲を満たすための行為はしても、相手の唇を欲したことはあまりない。
だが、今はひたすら紅薔薇の花弁のようなその唇を求めた。
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