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十
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「はぁ……、ああ!」
「おお! 大きくなってきたぞ」
メロペの嬉しそうな声。
「綺麗な色だな……。まだ無垢だ」
こんなときに、またも奇妙に冷静なアウルスの言葉は、リィウスには針のように神経に突き刺さるようだ。嗚咽の声が室に響く。
だが、いくら泣いてみせたところで、それで止めるほどディオメデスは甘くない。
残忍な支配欲のままに、じっくりと時間をかけてリィウスを苛め、あられもない声を引きずり出し、散々、焦らしてから、最後には気位のたかいリィウスが、恥も体裁もかなぐり捨て、許しを請うまで追い詰めた。
「ああ! も、もう、もう!」
「もう、なんだ?」
「ああ! もう……!」
室にはリィウスが肌につけていた香油の香と、彼の汗や、男たちの体臭とがまじりあって、なんともいえない臭気に満ちている。男の欲望が煮詰まったような匂いである。
「も、もう止めてくれ……」
「止めた方がいいか?」
リィウスは悲痛な声をあげて、ちがう! と叫んでしまった。
男たちの卑しい嘲笑が響く。
本当にディオメデスは手の動きを止めてしまった。だが、その手を相手の身体から離すことはない。
リィウスが白かった頬を真っ赤にして、おのれの中心を奪っている男を睨みつけてくる。
「だから、どうして欲しいんだ? 言ってみろ」
嗜虐心がむらむらと込みあげてきて、身の内からディオメデス自身まであぶる。
「言ってみろ」
ディオメデスは、本当にリィウスが己に禁じている言葉を発するまで許さないつもりだった。
「ああ……!」
この歳まで同性とも異性とも深く付き合うこともなく、純潔を守ってきたリィウスにとって、精神的にも肉体的にも拷問のような時間が、のろのろと終わることなく続くのだから堪らないだろう。ディオメデスはほくそ笑む。
だが、実は堪らないのはディオメデスも同じなのだ。
「おお! 大きくなってきたぞ」
メロペの嬉しそうな声。
「綺麗な色だな……。まだ無垢だ」
こんなときに、またも奇妙に冷静なアウルスの言葉は、リィウスには針のように神経に突き刺さるようだ。嗚咽の声が室に響く。
だが、いくら泣いてみせたところで、それで止めるほどディオメデスは甘くない。
残忍な支配欲のままに、じっくりと時間をかけてリィウスを苛め、あられもない声を引きずり出し、散々、焦らしてから、最後には気位のたかいリィウスが、恥も体裁もかなぐり捨て、許しを請うまで追い詰めた。
「ああ! も、もう、もう!」
「もう、なんだ?」
「ああ! もう……!」
室にはリィウスが肌につけていた香油の香と、彼の汗や、男たちの体臭とがまじりあって、なんともいえない臭気に満ちている。男の欲望が煮詰まったような匂いである。
「も、もう止めてくれ……」
「止めた方がいいか?」
リィウスは悲痛な声をあげて、ちがう! と叫んでしまった。
男たちの卑しい嘲笑が響く。
本当にディオメデスは手の動きを止めてしまった。だが、その手を相手の身体から離すことはない。
リィウスが白かった頬を真っ赤にして、おのれの中心を奪っている男を睨みつけてくる。
「だから、どうして欲しいんだ? 言ってみろ」
嗜虐心がむらむらと込みあげてきて、身の内からディオメデス自身まであぶる。
「言ってみろ」
ディオメデスは、本当にリィウスが己に禁じている言葉を発するまで許さないつもりだった。
「ああ……!」
この歳まで同性とも異性とも深く付き合うこともなく、純潔を守ってきたリィウスにとって、精神的にも肉体的にも拷問のような時間が、のろのろと終わることなく続くのだから堪らないだろう。ディオメデスはほくそ笑む。
だが、実は堪らないのはディオメデスも同じなのだ。
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