76 / 360
六
しおりを挟む
「なんだ、楽しそうな声が聞こえたから、てっきり最中だと思ったぞ」
若いくせにたるんだ頬に、色にふやけたような目でメロペはリィウスを覗きこんだ。その視線からリィウスを隠してやりたい、という想いが胸を突く。だが、ディオメデスはあえて嗜虐的にふるまった。
「もう、すっかり準備はできているぞ」
「ああっ!」
身を起こし、リィウスの右脚を思いっきり引っ張りあげる。
「うう……」
メロペたちの目に、秘部があらわになり、リィウスは絶望にのけぞった。
目を開ける勇気もないようで、顔を、男にしては細い両手でひたすら覆い、どうにかして隠そうとしている様子はひどくいじらしく、ならず者にいたぶられる深窓の令嬢のようだ。
トロイ陥落の折、ギリシャ兵に襲われたトロイ貴族の姫君たちはこんなふうだったのだろうか……と、ディオメデスは胸を小針で刺されたような痛みをおぼえる。
「白い脚だな……」
それまで無言で成り行きを見ていたアウルスが感心したようにつぶやく。
蝋燭一本のほのかな紅色の闇のなか、あらわにされたリィウスの脚は、たしかにぬめるように白く艶やかで、真珠色に輝いている。
ディオメデスも十二ではじめて女を知ってから、美女、美男、美童と、かなり経験をつみ、この若さですでにかなりの艶聞で知られているが、だが、これほど美しい身体を見たことはない。
「ほう。どれどれ」
遠慮を知らないメロペのぶあつい手が、リィウスの内股を撫であげる。
「ああ……! さ、さわるな!」
それまで、襲われた乙女のようにひたすら怯えていたリィウスが、声を荒らげて凌辱者たちに吼えた。
一瞬、メロペは鼻白んだ顔になる。だが、すぐに目尻を下げてわざとらしく笑う。
「この期におよんで気が強いな。相変わらずお貴族様のつもりなんだな。ディオメデス、この生意気な奴隷をどうする?」
訊かれたディオメデスは微笑してみせた。
「まぁ、そう急ぐな。夜は長い。これからじっくり仕込んでやるさ。二度と俺たちに生意気な口がきけないようにな」
若いくせにたるんだ頬に、色にふやけたような目でメロペはリィウスを覗きこんだ。その視線からリィウスを隠してやりたい、という想いが胸を突く。だが、ディオメデスはあえて嗜虐的にふるまった。
「もう、すっかり準備はできているぞ」
「ああっ!」
身を起こし、リィウスの右脚を思いっきり引っ張りあげる。
「うう……」
メロペたちの目に、秘部があらわになり、リィウスは絶望にのけぞった。
目を開ける勇気もないようで、顔を、男にしては細い両手でひたすら覆い、どうにかして隠そうとしている様子はひどくいじらしく、ならず者にいたぶられる深窓の令嬢のようだ。
トロイ陥落の折、ギリシャ兵に襲われたトロイ貴族の姫君たちはこんなふうだったのだろうか……と、ディオメデスは胸を小針で刺されたような痛みをおぼえる。
「白い脚だな……」
それまで無言で成り行きを見ていたアウルスが感心したようにつぶやく。
蝋燭一本のほのかな紅色の闇のなか、あらわにされたリィウスの脚は、たしかにぬめるように白く艶やかで、真珠色に輝いている。
ディオメデスも十二ではじめて女を知ってから、美女、美男、美童と、かなり経験をつみ、この若さですでにかなりの艶聞で知られているが、だが、これほど美しい身体を見たことはない。
「ほう。どれどれ」
遠慮を知らないメロペのぶあつい手が、リィウスの内股を撫であげる。
「ああ……! さ、さわるな!」
それまで、襲われた乙女のようにひたすら怯えていたリィウスが、声を荒らげて凌辱者たちに吼えた。
一瞬、メロペは鼻白んだ顔になる。だが、すぐに目尻を下げてわざとらしく笑う。
「この期におよんで気が強いな。相変わらずお貴族様のつもりなんだな。ディオメデス、この生意気な奴隷をどうする?」
訊かれたディオメデスは微笑してみせた。
「まぁ、そう急ぐな。夜は長い。これからじっくり仕込んでやるさ。二度と俺たちに生意気な口がきけないようにな」
10
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説




身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる