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二
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「うっ……」
かなり乱暴に練りものを繊細な箇所に押しこまれ、リィウスは辛さに身をよじる。むろん、今の己の姿の恥ずかしさも辛くてたまらない。
「あら、痛くした?」
リキィンナの指が軟化したようで、一瞬、楽になった。
「ごめん……。ちょっと苛立っているのよね、私」
その後の仕草は、打って変わって優しくなった。
「すこし、苛々しているものだから……。ほら、全部入ったわ。これでもう大丈夫よ。すぐ良くなって、お客を楽に迎えいれられるわ」
「はぁ……」
リィウスは溜息とも吐息ともつかぬ息を吐いて、身体が押しこまれた異物に慣れるのを待った。
時間はそうかからなかった。
(ん……、ああ……)
リキィンナの言うとおり、異物はすぐに馴染み、奇妙な暖かさをその箇所にもたらす。
「こ、これ……」
「良くなってきたでしょう? もう辛くないからね。お客も喜ばれるし、あんたも楽しめるのよ」
すこしほつれたリィウスの前髪を指でなおしてくれながら、リキィンナは先輩娼婦らしく説明する。
「お客もあんたが初めてだって知っているから、まぁ、すこしは手心を加えてくれるでしょうよ。……実を言うとね、今日のお客は私もちょっと気に入っているのよ。……正直、あんたと代わりたいぐらい」
酒のせいか、リキィンナの濃厚な蜂蜜色の頬が赤黒く染まっている。いつも全身から蜜香をほとぼしらせているように色っぽい女だが、今は色気よりも別の風をまといつかせて、それはそれで見る者の気を引く。
ちょっと妬いているのよね……、と照れたように呟き、そっぽを向いて、ごめん、とまた謝った。こういうところは子どものようで、憎めない娼婦である。
だが、今のリィウスは、やはり緊張と恐怖で足が震えそうだった。いくらそれが勤めとはいえ、こんな恐ろしい状況へと自分を追いやるリィキンナを、どうしても恨めしく思ってしまう。
そんなリィウスの心情を察したのか、リキィンナがすこし寂しげな笑みを浮かべる。
「今夜のあんたは花嫁さんよ。新妻の室に、もうすぐ新郎が来るから、心して待っているのよ」
かなり乱暴に練りものを繊細な箇所に押しこまれ、リィウスは辛さに身をよじる。むろん、今の己の姿の恥ずかしさも辛くてたまらない。
「あら、痛くした?」
リキィンナの指が軟化したようで、一瞬、楽になった。
「ごめん……。ちょっと苛立っているのよね、私」
その後の仕草は、打って変わって優しくなった。
「すこし、苛々しているものだから……。ほら、全部入ったわ。これでもう大丈夫よ。すぐ良くなって、お客を楽に迎えいれられるわ」
「はぁ……」
リィウスは溜息とも吐息ともつかぬ息を吐いて、身体が押しこまれた異物に慣れるのを待った。
時間はそうかからなかった。
(ん……、ああ……)
リキィンナの言うとおり、異物はすぐに馴染み、奇妙な暖かさをその箇所にもたらす。
「こ、これ……」
「良くなってきたでしょう? もう辛くないからね。お客も喜ばれるし、あんたも楽しめるのよ」
すこしほつれたリィウスの前髪を指でなおしてくれながら、リキィンナは先輩娼婦らしく説明する。
「お客もあんたが初めてだって知っているから、まぁ、すこしは手心を加えてくれるでしょうよ。……実を言うとね、今日のお客は私もちょっと気に入っているのよ。……正直、あんたと代わりたいぐらい」
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ちょっと妬いているのよね……、と照れたように呟き、そっぽを向いて、ごめん、とまた謝った。こういうところは子どものようで、憎めない娼婦である。
だが、今のリィウスは、やはり緊張と恐怖で足が震えそうだった。いくらそれが勤めとはいえ、こんな恐ろしい状況へと自分を追いやるリィキンナを、どうしても恨めしく思ってしまう。
そんなリィウスの心情を察したのか、リキィンナがすこし寂しげな笑みを浮かべる。
「今夜のあんたは花嫁さんよ。新妻の室に、もうすぐ新郎が来るから、心して待っているのよ」
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