燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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(結局、やはりリィウスのあられもない姿が見たいくせに)
 ささやかな、良心という心のかせにとらわれながらも、欲望と好奇心を抑えきれないでいるアウラスの意外な小心さが、ディオメデスのように、すでにとっくに道徳心をなくしてしまった――というより、最初から学ぶことなく成長した男には面白かった。 
「いや、いきなり三人でやるわけではない。この二人は付き添いというか、立会人だ」
「なんでだ?」
 嫌な顔をするメロペをディオメデスは視線で制した。
「やはりいきなり複数だと、リィウスも辛いだろう。壊してしまっては元も子もない。今夜はまず俺が味見をするから、後日、じっくり楽しむがいい。その代わり、初夜をたっぷり見せてやる」
 側でかつての学友たちに見られる方が、リィリスにとっては過酷かもしれないが、かまってはいられない。いや、むしろディオメデスは、徹底的にリィウスを傷つけてやりたかった。おとしめ、いたぶり、辱しめてやりたいのだ。
「間抜けな役割じゃないか?」
 不満そうなメロペにディオメデスは笑ってみせる。
「ひがむなよ。酒はじっくりと寝かせた方がうまいだろう?」
 しぶしぶ納得したメロペと並ぶようにして立つアウラスの顔は、やはり浮かない。
「おまえはどうする、アウラス? 嫌ならここで待つか?」
 ディオメデスは笑いながら訊いてみる。答えは予想どおりのものだった。
「……ここまで来て、今更善人ぶっても仕方ないだろう」
 気のりはしないが、やはり好奇心と欲望には勝てないらしい。
「では、行くか?」

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