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最後の一日 六
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「仲睦まじいことで羨ましい。私も今日だけはお手伝いしてあげたい」
王のかいがいしい動作を真似て、アベルの先端に手を伸ばしてきたエゴイに向かって、アベルは懇願した。
「ああ、やめろ……、やめてくれ、エゴイ! た、たのむから、ここから出て行ってくれ!」
エゴイは困ったように黒眉を寄せて笑った。
「許せ、アベル。おまえを見ていたい。見せてくれ、おまえの可愛い恰好を」
「い、いや! いやだ!」
「往生際が悪いぞ、アベル」
まるで聞き分けのない幼児をなだめるように言い、エゴイが苦笑する。
木馬には、真紅の天鵞絨の布がけられており、触れた肌を心地良く刺激し、アベルは背をこわばらせた。
「足は、ここじゃ。ここに、な」
「ああ……!」
アベルは両目が涙でかすんでいくのを自覚した。
自分は本当に、この場で、衆目のなかで、木馬に犯されるのだろうか。それを同国人のエゴイやアビラ子爵に見られて。
アベルは両手首を吊りあげられたままの体勢で、切なげに肩をすくめ、悔しげに背をふるわせて啜り泣いた。
そんなアベルの辛そうな様子が、また見る者には、いかにも悪漢にさらわれた薄幸の姫君のようで、征服欲を煽るものとなることにアベルはまったく気づいていない。
「おお、可愛い花嫁じゃ」
王の手がアベルの背を、胸をまさぐる。
「はぁ……!」
チュッ……という場違いなほど甘い音を聞いたかと思うと、アベルは胸に濡れたものを感じた。王の唇や舌が白い肌と紅い突起を吸い、舐め、ついばむ。
「ああ……、ずっと……、ずっと夢じゃった。あのときの美しく誇りたかい勇士を、いつかこうして思いのままにめちゃくちゃにしてやりたい……と。泣かせて……、喘がせて、悦ばせてやりたいと、どれだけ夢に見たことか。そのためなら、魔神に魂を売っても良いとすら思った。そなたを手に入れられなければ、余は生きている意味がない」
王の熱をふくんだ言葉は、だが、愛撫の刺激に惑乱されているアベルの耳をかすっていくばかりだ。
「はぁ……。やめ、やめて……」
「よいか、足でしっかり鐙を踏んでおれ。でないと、怪我をするやもしれぬからな。さ、公爵、そちら側を持ってくれ」
「は」
アベルの意志をまったく無視して、男たちはアベルに受け入れる姿勢を取らせる。
「ああ、よせ、やめろ、やめろ! 待って、待って! 頼むからぁ」
思わずアベルは女のように哀願してしまっていた。
「大丈夫じゃ」
「ああー!」
ぐっ……――、と敏感な先端に固い物を感じて、アベルはのけぞった。
刹那、アベルは頭のなかで、玻璃がくだけるような音を聞いた。
王のかいがいしい動作を真似て、アベルの先端に手を伸ばしてきたエゴイに向かって、アベルは懇願した。
「ああ、やめろ……、やめてくれ、エゴイ! た、たのむから、ここから出て行ってくれ!」
エゴイは困ったように黒眉を寄せて笑った。
「許せ、アベル。おまえを見ていたい。見せてくれ、おまえの可愛い恰好を」
「い、いや! いやだ!」
「往生際が悪いぞ、アベル」
まるで聞き分けのない幼児をなだめるように言い、エゴイが苦笑する。
木馬には、真紅の天鵞絨の布がけられており、触れた肌を心地良く刺激し、アベルは背をこわばらせた。
「足は、ここじゃ。ここに、な」
「ああ……!」
アベルは両目が涙でかすんでいくのを自覚した。
自分は本当に、この場で、衆目のなかで、木馬に犯されるのだろうか。それを同国人のエゴイやアビラ子爵に見られて。
アベルは両手首を吊りあげられたままの体勢で、切なげに肩をすくめ、悔しげに背をふるわせて啜り泣いた。
そんなアベルの辛そうな様子が、また見る者には、いかにも悪漢にさらわれた薄幸の姫君のようで、征服欲を煽るものとなることにアベルはまったく気づいていない。
「おお、可愛い花嫁じゃ」
王の手がアベルの背を、胸をまさぐる。
「はぁ……!」
チュッ……という場違いなほど甘い音を聞いたかと思うと、アベルは胸に濡れたものを感じた。王の唇や舌が白い肌と紅い突起を吸い、舐め、ついばむ。
「ああ……、ずっと……、ずっと夢じゃった。あのときの美しく誇りたかい勇士を、いつかこうして思いのままにめちゃくちゃにしてやりたい……と。泣かせて……、喘がせて、悦ばせてやりたいと、どれだけ夢に見たことか。そのためなら、魔神に魂を売っても良いとすら思った。そなたを手に入れられなければ、余は生きている意味がない」
王の熱をふくんだ言葉は、だが、愛撫の刺激に惑乱されているアベルの耳をかすっていくばかりだ。
「はぁ……。やめ、やめて……」
「よいか、足でしっかり鐙を踏んでおれ。でないと、怪我をするやもしれぬからな。さ、公爵、そちら側を持ってくれ」
「は」
アベルの意志をまったく無視して、男たちはアベルに受け入れる姿勢を取らせる。
「ああ、よせ、やめろ、やめろ! 待って、待って! 頼むからぁ」
思わずアベルは女のように哀願してしまっていた。
「大丈夫じゃ」
「ああー!」
ぐっ……――、と敏感な先端に固い物を感じて、アベルはのけぞった。
刹那、アベルは頭のなかで、玻璃がくだけるような音を聞いた。
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