黄金郷の夢

文月 沙織

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初夜散華 六

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「くくくくく。それは、もしや伯爵のひそかな想い人かもしれませんね。女には興味がないのかと思っていたら、実は隠れた恋人がいたというわけか。いけない人だな」
「う……」
 エゴイの手が強く片尻をにぎる。
「そうやって下僕の名を呼びながら普段から一人で悪戯していたのかな? おまえも隅に置けないな、アベル」
 アベルは褥の布をやぶらんばかりに握りしめて、この壮絶な言葉嬲りに堪えた。屈辱もさることながら、彼らの言葉はアベルの神経に別の意味でひっかかりを残した。
「さてと、そろそろか。伯爵、覚悟は良いか、そなたは今、余のものになるのじゃぞ」
 その言葉にアベルはぞっとした。
 これほどのいたぶりを受けてはいても、まだ身体に生身の欲望を受けてはいないアベルは、ぎりぎり最後の一線で無垢だったのだ。そのことがかろうじてアベルの神経を保っていたのだが、今、その最後の最後の盾が破壊されようとしている。
「い、いやだ! ああっ、いやだ!」
「困った奴じゃのう。さ、大人しくして、余を受け入れるがよい。その様子を、しっかりと使者たちに見てもらえ。よいか、公爵、アルベニス伯爵が、どのように余の腕のなかで泣いたか、故国に帰れば、見たことをすべて女王に報告するがよい」
「御意」
 アベルは発狂寸前だった。いや、すでに半分狂っていた。
「ああっ! いや、いやだぁ!」
 叫んでも、抗っても、身体はしっかりと男たちに抑えこまれ、尻だけが震える。けしからんほどに淫らな様に、客たちの唾を飲む音さえ聞こえてきそうだ。
「陛下、念のために、もう一度」
 聞こえてきたのはカイの声だ。
「うむ」
「ひっ、あっ!」
 いったん懐柔されていた蕾は、しばし時をおいただけでは閉じ切ることもなく、すでに王の指に充分反応していたうえに、カイが差し出した新たな香油によって、いっそう、しとどに濡らされた。
 尻全体に油を塗られていくのを感じる。
 突き出した腰は、油をはじいて輝き、薄緋色の玉のようにぼんやり妖しく光りはじめ、見る者たちの目を痛くさせるほどだ。
「ああっ、ああっ、ああああ!」
 暖かいものが、そこに触れたのをアベルは感じた。指よりももっと太く、量感や存在感を伝えてくるもの。王者の、男の、雄そのもの熱と力に、アベルはのけぞった。
「い、いやー!」
 女のような悲鳴をあげて全身で嫌がるアベルだが、逃れることもできず、とうとう、かたくなだった蕾を全開にさせてしまった。
「ひぃぃぃぃっ!」
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