121 / 150
初夜散華 五
しおりを挟む
「故国にいたときよりも、さらに麗しくなったはずじゃ。そうは思わぬか」
「……御意」
声はかすかに固くなったが、すぐにエゴイは言葉をつらねた。
「故国では男らしく凛々しかったアルベニス伯爵が、グラリオンではこんなにも可憐な姿を見せるのか、と驚いております。さぞ、お国の方のご指導が良かったのでしょうな」
「おお。思ったより時間がかかったがな。……尻を上げさせるとよい」
「あ、いやだ……!」
アベルは朦朧としつつも、聞きとったその言葉に、残された力のすべてで逆らったが、所詮、自分よりも体格の良い男二人に勝てるわけもなく、屈辱の体勢を取らされてしまう。
「どうじゃ、見ろ、この白い尻を……。ここで、な」
「ひぃっ!」
蕾に衝撃を受けてアベルは声をあげた。慎ましいそこは、先ほど散々道具で乱されたものの、すこしするとまた貞淑につぼまる。それへ、王の指が一本いきなり準備なく侵入してきたのだ。
「楽しめるよう充分仕込んだぞ」
あ、ああ……。かぼそい悲鳴は権力者二人に無視された。
王の言うとおり、無理に呑まされた指であっても、すぐに慣れて、蕾の方から求めだす。
苦悶とは別の汗を背に浮かべたアベルを見下ろす男たちのほくそ笑みは見えずとも、揶揄をふくんだ声はしっかりと聞こえてくる。
「さぞ、根気が言ったことでしょうな。伯爵は生真面目で女と浮き名を流したこともない人ですからな」
「はぁ……!」
蕾をいじる王に加勢するように、エゴイは尻たぶを揉みはじめた。
「まあな。だが、素質はあったようじゃ。連珠に、張り型、卵で励んでおるときの伯爵のいじらしい姿といったら。見せてやりたいぐらいじゃ」
いっそ気を失えれば良かったかもしれないが、執拗に王とエゴイに尻を刺激されている状況では、それもならず、アベルは視界が真っ赤になるほどの恥辱のなかで、男たちにもてあそばれつづけるしかなかった。
「じゃが、なんといっても、一番すさまじかったのは木馬乗りじゃ」
王の声はうっとりとしたものになっている。
「木馬……?」
「くくくくく。素晴らしかったぞ。悔し泣きしながらも、こらえきれずに遂くときの伯爵の可愛らしさといったら……あれ以来、余は後宮のどんな女にも小姓にも興味がなくなった」
「ほう……。それは、眼福でしょうな。……私も一度見てみたいものです」
エゴイの苦笑まじりの呟きは、アベルをたたきのめした。
「後で見せてやろう」
「楽しみです」
血のかよわぬ男二人の会話に、アベルは自分が人ではなくなっていく気がした。
「じゃが、けしからんのは、遂くときに、下僕の名を呼んだことじゃ。あれはゆるせぬ」
怒りつつも、王の言葉には嘲笑がこめられている。エゴイの返事にもふざけた響きがあった。
「……御意」
声はかすかに固くなったが、すぐにエゴイは言葉をつらねた。
「故国では男らしく凛々しかったアルベニス伯爵が、グラリオンではこんなにも可憐な姿を見せるのか、と驚いております。さぞ、お国の方のご指導が良かったのでしょうな」
「おお。思ったより時間がかかったがな。……尻を上げさせるとよい」
「あ、いやだ……!」
アベルは朦朧としつつも、聞きとったその言葉に、残された力のすべてで逆らったが、所詮、自分よりも体格の良い男二人に勝てるわけもなく、屈辱の体勢を取らされてしまう。
「どうじゃ、見ろ、この白い尻を……。ここで、な」
「ひぃっ!」
蕾に衝撃を受けてアベルは声をあげた。慎ましいそこは、先ほど散々道具で乱されたものの、すこしするとまた貞淑につぼまる。それへ、王の指が一本いきなり準備なく侵入してきたのだ。
「楽しめるよう充分仕込んだぞ」
あ、ああ……。かぼそい悲鳴は権力者二人に無視された。
王の言うとおり、無理に呑まされた指であっても、すぐに慣れて、蕾の方から求めだす。
苦悶とは別の汗を背に浮かべたアベルを見下ろす男たちのほくそ笑みは見えずとも、揶揄をふくんだ声はしっかりと聞こえてくる。
「さぞ、根気が言ったことでしょうな。伯爵は生真面目で女と浮き名を流したこともない人ですからな」
「はぁ……!」
蕾をいじる王に加勢するように、エゴイは尻たぶを揉みはじめた。
「まあな。だが、素質はあったようじゃ。連珠に、張り型、卵で励んでおるときの伯爵のいじらしい姿といったら。見せてやりたいぐらいじゃ」
いっそ気を失えれば良かったかもしれないが、執拗に王とエゴイに尻を刺激されている状況では、それもならず、アベルは視界が真っ赤になるほどの恥辱のなかで、男たちにもてあそばれつづけるしかなかった。
「じゃが、なんといっても、一番すさまじかったのは木馬乗りじゃ」
王の声はうっとりとしたものになっている。
「木馬……?」
「くくくくく。素晴らしかったぞ。悔し泣きしながらも、こらえきれずに遂くときの伯爵の可愛らしさといったら……あれ以来、余は後宮のどんな女にも小姓にも興味がなくなった」
「ほう……。それは、眼福でしょうな。……私も一度見てみたいものです」
エゴイの苦笑まじりの呟きは、アベルをたたきのめした。
「後で見せてやろう」
「楽しみです」
血のかよわぬ男二人の会話に、アベルは自分が人ではなくなっていく気がした。
「じゃが、けしからんのは、遂くときに、下僕の名を呼んだことじゃ。あれはゆるせぬ」
怒りつつも、王の言葉には嘲笑がこめられている。エゴイの返事にもふざけた響きがあった。
1
お気に入りに追加
404
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる