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開花寸前 二
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ハルスが鼻で笑うのが知れたが、次に聞こえてきたジャムズの声は真剣だった。
「その調子です。身体がほぐれてきた。もう少しですよ」
「あふぅ……」
全身を桃色の霞につつまれたような危うい陶酔感がアベルを襲う。
今触れている二人の宦官のみならず、アイーシャたちや、ほかの宦官たちの視線が自分に集中していることは、かろうじて自覚しているのだが、心も肉体もジャムズの手管によって、じんわりと蕩けていってしまうのを止められない。
(だ、駄目だ……こんな。ああ、こんな……!)
またも、アベルのなかの獣が目を覚ましはじめた。
またも、〟あれ〟が起こり始めたのだ。
下肢が熱くなる。屈辱に全身に淡く汗がにじむのがわかる。だが、いったん生まれた熱は消えてくれない。
腰の薄布ではアベルを守ってくれず、肉体の変化のすべてが見物人たちの目にほぼ晒されているのかと思うと、アベルは気が狂いそうなほどにいたたまれないのだが、アベルの魂は狂ってしまって無我の極致へ飛翔することよりも、汚れきった現世にとどまりつづけ、この歪んだよろこびを味わうことを選んでしまっていた。
「さ、いいですね。下ろしますよ」
ジャムズの、丁寧だが、断固とした口調がアベルの耳朶を打つ。
「え? あっ、いや! いやだ!」
陶酔感より未知の恐怖がまさり、アベルは身を震わせた。
「待って、待ってくれ……! あっ」
「駄目です。もう、甘やかしませんよ」
ハルスもジャムズの言葉にしたがって、動きを調整する。
「ああ……! む、無理だ!」
だが、アベルの、充分にほぐされた蕾は、艶光りする道具の先端めがけて下ろされていく。
固いものが、中心に触れたのを、アベルは感じた。
「あっ! つ、ついた!」
おぞましさと未知の体験への恐怖にアベルは吼えるように叫んでいた。
「いや! いやだ! そ、それ、止めて! 止めろ!」
「動かないでください」
ああ……、という悲鳴のような喘ぎは声にならない。
宦官二人によってがっちりとつかまれて動かせない下半身の代わりに、死にもの狂いになって鎖でつながれている両手をアベルは揺さぶっていたが、鎖は不協和音をたててアベルの抗議を伝えはしたものの、誰の耳に響くことなく終わった。
その間にも、わずかずつ、確実に黒檀の凶器はアベルの体内へと侵入していく。正確に言うならば、アベルの肉体がその小さな凶器を呑み込んでいくのだ。
「その調子です。身体がほぐれてきた。もう少しですよ」
「あふぅ……」
全身を桃色の霞につつまれたような危うい陶酔感がアベルを襲う。
今触れている二人の宦官のみならず、アイーシャたちや、ほかの宦官たちの視線が自分に集中していることは、かろうじて自覚しているのだが、心も肉体もジャムズの手管によって、じんわりと蕩けていってしまうのを止められない。
(だ、駄目だ……こんな。ああ、こんな……!)
またも、アベルのなかの獣が目を覚ましはじめた。
またも、〟あれ〟が起こり始めたのだ。
下肢が熱くなる。屈辱に全身に淡く汗がにじむのがわかる。だが、いったん生まれた熱は消えてくれない。
腰の薄布ではアベルを守ってくれず、肉体の変化のすべてが見物人たちの目にほぼ晒されているのかと思うと、アベルは気が狂いそうなほどにいたたまれないのだが、アベルの魂は狂ってしまって無我の極致へ飛翔することよりも、汚れきった現世にとどまりつづけ、この歪んだよろこびを味わうことを選んでしまっていた。
「さ、いいですね。下ろしますよ」
ジャムズの、丁寧だが、断固とした口調がアベルの耳朶を打つ。
「え? あっ、いや! いやだ!」
陶酔感より未知の恐怖がまさり、アベルは身を震わせた。
「待って、待ってくれ……! あっ」
「駄目です。もう、甘やかしませんよ」
ハルスもジャムズの言葉にしたがって、動きを調整する。
「ああ……! む、無理だ!」
だが、アベルの、充分にほぐされた蕾は、艶光りする道具の先端めがけて下ろされていく。
固いものが、中心に触れたのを、アベルは感じた。
「あっ! つ、ついた!」
おぞましさと未知の体験への恐怖にアベルは吼えるように叫んでいた。
「いや! いやだ! そ、それ、止めて! 止めろ!」
「動かないでください」
ああ……、という悲鳴のような喘ぎは声にならない。
宦官二人によってがっちりとつかまれて動かせない下半身の代わりに、死にもの狂いになって鎖でつながれている両手をアベルは揺さぶっていたが、鎖は不協和音をたててアベルの抗議を伝えはしたものの、誰の耳に響くことなく終わった。
その間にも、わずかずつ、確実に黒檀の凶器はアベルの体内へと侵入していく。正確に言うならば、アベルの肉体がその小さな凶器を呑み込んでいくのだ。
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