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毒蛇の歌 二
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昼間はごく普通に良き先輩としてアーミナを指導してくれたが、これが夜になるとおぞましい欲望に燃えて、幼いアーミナの身体をありとあらゆる方法で弄んだのである。失くした男根の代わりに、彼は冷たい器具と、ねばつく舌と、武骨な指で、アーミナの柔らかい肌と肉を徹底的に嬲りぬいた。
性を発散することができない中年の宦官が、幼い宦官を欲望の対象として玩弄し虐待し尽くすのであるから、その様子がいかに過酷で浅ましく、淫虐きわまりないものか。
アーミナにとってさらに辛いことは、すべての宦官たちが皆そうというわけではないことだった。なかには良き子弟関係を築いて、疑似親子か兄弟のようにすこやかな付き合いをする者たちも多く、そういった関係を見聞きするにつけ、彼の夜毎の苦痛はいっそう深くなった。先輩宦官を真実敬愛して成長していく恵まれた朋輩たちを横目に見ながら、アーミナはひたすら苦しい時代を生き抜いたのだ。
そんな生活は、師が病気で死ぬまで五年つづいた。アーミナが薬湯に秘密の薬を足さなかったら、もっと長くつづいたことだろう。
そして多感な季節に異常で過激な経験をしてしまったアーミナもまた、虐待の苦痛と、正しい形で発散されない欲望を永遠に抱いて、自分自身でも説明のできない焦燥と憤懣をかかえて生きることになってしまった。積もりに積もった恨みと欲望と苛立ちは、いつしか凝り固まってアーミナのなかで黒い蛇となってとぐろを巻き出した。
今も、自分とはちがって、五体満足な健全な肉体が放つ美を前にして、アーミナのなかにひそむその黒蛇が舌を出してきたようだ。
異国人であり、由緒正しい貴族の出であり、類まれなる美貌の持ち主であり、さらに傷つけられても屈そうとしない気高い精神。アベルの持つそれらの資質すべてが憎らしい。
アーミナは我知らずアベルに峻烈な視線を向けていた。
「素晴らしい身体ですね。ねぇ、アイーシャ様、伯爵にはどんな腰巻が似合うでしょうかね?」
アベルは悔しさに頬を燃やしてアーミナを睨みつけた。
「そうね。ねぇ、伯爵、どれがいいかしら? 白? 黒? 桃色はどう?」
屈辱にアベルは唇を噛んだが、凌辱者たちの欲望に燃える目に顔を伏せるしかなかった。
「いいわ、私が選んであげる。そうね。この薄紅色が一番似合いそう」
アベルは耳朶まで熱くなったのを感じた。一瞬、視界が歪んだ。
透けて見える薄紅色の腰巻。
紐には凝った飾り布が下がっている。見る男の情欲をそそり、着ける女の淫欲をみずから引き出すために作られた絹の淫具のようだ。
憤辱のあまり、アベルは身体が凍り付いていくのを感じた。
性を発散することができない中年の宦官が、幼い宦官を欲望の対象として玩弄し虐待し尽くすのであるから、その様子がいかに過酷で浅ましく、淫虐きわまりないものか。
アーミナにとってさらに辛いことは、すべての宦官たちが皆そうというわけではないことだった。なかには良き子弟関係を築いて、疑似親子か兄弟のようにすこやかな付き合いをする者たちも多く、そういった関係を見聞きするにつけ、彼の夜毎の苦痛はいっそう深くなった。先輩宦官を真実敬愛して成長していく恵まれた朋輩たちを横目に見ながら、アーミナはひたすら苦しい時代を生き抜いたのだ。
そんな生活は、師が病気で死ぬまで五年つづいた。アーミナが薬湯に秘密の薬を足さなかったら、もっと長くつづいたことだろう。
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今も、自分とはちがって、五体満足な健全な肉体が放つ美を前にして、アーミナのなかにひそむその黒蛇が舌を出してきたようだ。
異国人であり、由緒正しい貴族の出であり、類まれなる美貌の持ち主であり、さらに傷つけられても屈そうとしない気高い精神。アベルの持つそれらの資質すべてが憎らしい。
アーミナは我知らずアベルに峻烈な視線を向けていた。
「素晴らしい身体ですね。ねぇ、アイーシャ様、伯爵にはどんな腰巻が似合うでしょうかね?」
アベルは悔しさに頬を燃やしてアーミナを睨みつけた。
「そうね。ねぇ、伯爵、どれがいいかしら? 白? 黒? 桃色はどう?」
屈辱にアベルは唇を噛んだが、凌辱者たちの欲望に燃える目に顔を伏せるしかなかった。
「いいわ、私が選んであげる。そうね。この薄紅色が一番似合いそう」
アベルは耳朶まで熱くなったのを感じた。一瞬、視界が歪んだ。
透けて見える薄紅色の腰巻。
紐には凝った飾り布が下がっている。見る男の情欲をそそり、着ける女の淫欲をみずから引き出すために作られた絹の淫具のようだ。
憤辱のあまり、アベルは身体が凍り付いていくのを感じた。
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