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邪淫の目覚め 七
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「おまえたちは、どれだけ私を辱しめれば気がすむのだ?」
「辱しめるなんて、ひどいわ。伯爵が陛下に気に入られるように協力しているというのに。ご覧なさいよ、おまえたち。こうして見ると、伯爵はいっそうお美しく見えると思わない?」
「おっしゃる通りです、アイーシャ様」
アーミナの言葉にエリスも目を輝かせて頷く。サライアも目元を潤ませ、感情を持っていないかのように見えたジャムズたちですら、色黒の頬を赤らませている。
「本当に伯爵ったら、なんて女物の下着が似合うのかしら! ぐんと色気が上がったわ」
アイーシャの言う通りである。
透けて見える網布は、薄桃の靄のようにアベルの秘部にまとわりつき、その様は、いっそ着けない方がましだと思わんばかりに、怪しからんばかりに猥褻、淫蕩である。
連日におよぶ調教による打撃で幾分やつれはしても、鍛えた肉体も若い肌もその輝きを失ってはいない。いや、むしろ不思議なことに、来たときよりも瑞々しく若々しくさえ見える。
その身体に薄桃の女物の腰巻をまとったアベルの今の姿は、倒錯的な強烈な色気を帯びて、残忍な観察者たちに息を飲ませるほどのものだった。
薄桃の霞のなかには、どちらかといえば細身で、清潔感を失わない若い茎が、気の毒に怯えて身をすくませているのがどうにか知れる。双果も、黄金の草むらも見えそうで見えない。若いアベルの分身であり、羞恥と生命の源そのものが、霞につつまれいじらしく震えている。
アベルは異教徒たちの視線の針に全身を刺されて、恥辱に燃えた。身体から火が出そうだ。
二十二にもなる男、貴族であり騎士でもある誇り高いアベルにとって、憎い敵王の愛人の下着を無理やり纏わせられ、その恥ずかしい恰好を鑑賞されるなど、これほど手酷い侮辱があるだろうか。
「あら、伯爵、気に入らないの? そんな怒った顔をして? 悲しいわぁ」
アイーシャがわざとらしげに眉を寄せて嘆くふりをする。
「私としては、これから陛下に仕える者同士、姉妹のように伯爵と仲睦まじくしたいと思っているのに」
「お許しください、アイーシャ様。伯爵はまだグラリオン後宮に慣れていないので、緊張しているのです」
とりなすアーミナの言葉も空々しい。二人は、獲物を狙う猛獣のような目を見交わしあった。
「いいわ。伯爵に気に入ってもらうように、もっと素晴らしい贈り物を用意するわ」
アベルは屈辱のあまり自分の歯がカチカチと鳴っているのが聞こえた。意識を失わないのが不思議だった。
だが、ねちねちとアイーシャのいたぶりに堪えているアベルの身に、さらに恐ろしいことが起こりはじめた。
(あ……そ、そんな、まさか……!)
身の内に燃える奇妙な熱を自覚しはじめたとき、アベルは自分自身が信じられなかった。
「辱しめるなんて、ひどいわ。伯爵が陛下に気に入られるように協力しているというのに。ご覧なさいよ、おまえたち。こうして見ると、伯爵はいっそうお美しく見えると思わない?」
「おっしゃる通りです、アイーシャ様」
アーミナの言葉にエリスも目を輝かせて頷く。サライアも目元を潤ませ、感情を持っていないかのように見えたジャムズたちですら、色黒の頬を赤らませている。
「本当に伯爵ったら、なんて女物の下着が似合うのかしら! ぐんと色気が上がったわ」
アイーシャの言う通りである。
透けて見える網布は、薄桃の靄のようにアベルの秘部にまとわりつき、その様は、いっそ着けない方がましだと思わんばかりに、怪しからんばかりに猥褻、淫蕩である。
連日におよぶ調教による打撃で幾分やつれはしても、鍛えた肉体も若い肌もその輝きを失ってはいない。いや、むしろ不思議なことに、来たときよりも瑞々しく若々しくさえ見える。
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アベルは異教徒たちの視線の針に全身を刺されて、恥辱に燃えた。身体から火が出そうだ。
二十二にもなる男、貴族であり騎士でもある誇り高いアベルにとって、憎い敵王の愛人の下着を無理やり纏わせられ、その恥ずかしい恰好を鑑賞されるなど、これほど手酷い侮辱があるだろうか。
「あら、伯爵、気に入らないの? そんな怒った顔をして? 悲しいわぁ」
アイーシャがわざとらしげに眉を寄せて嘆くふりをする。
「私としては、これから陛下に仕える者同士、姉妹のように伯爵と仲睦まじくしたいと思っているのに」
「お許しください、アイーシャ様。伯爵はまだグラリオン後宮に慣れていないので、緊張しているのです」
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「いいわ。伯爵に気に入ってもらうように、もっと素晴らしい贈り物を用意するわ」
アベルは屈辱のあまり自分の歯がカチカチと鳴っているのが聞こえた。意識を失わないのが不思議だった。
だが、ねちねちとアイーシャのいたぶりに堪えているアベルの身に、さらに恐ろしいことが起こりはじめた。
(あ……そ、そんな、まさか……!)
身の内に燃える奇妙な熱を自覚しはじめたとき、アベルは自分自身が信じられなかった。
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