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邪淫の目覚め 三
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「がんばって、ほら、もうちょっと」
「あと少し」
精神的双子のように息の合うアイーシャとアーミナは、子どものように手を打ってはやしたてる。
「あっ、ああっ、あああ!」
アベルは悔しげに眉をゆがめ、歯をくいしばって、鎖を鳴らしながら身をよじる。
胸や腹が汗に濡れて艶やかに光る。
薄い筋肉が魅惑的によじれる。
強制的に広げられている脚が屈辱に震えて、観察者たちを興奮させた。
ほぼ全裸に近い身体にまといついているのは、汗に濡れて色を変えた薄い腰布と、脱げ切ることのない檜皮色のサンダルだけである。かぎりなく全裸に近く、全裸以上に猥褻で強烈な色気を放っていた。
「おっ、出た!」
白い物体が体内から突き出、直下した瞬間、観客たちはざわめき、手をたたいた。
(ああ……)
その音を聞きながら、アベルは目線を遠くにさまよわせていた。
体中の骨がくだけたような恥辱の痛みに、もう涙も出ない。自尊心が木っ端微塵にくだけた気分だ。
そんなアベルの気持ちなど歯牙にもかけず、アイーシャは笑いはしゃぎながら言う。
「素敵、素敵。なんて最高の見せ物かしらね。こんな面白いもの見せてもらったのは、久しぶりだわ」
ひとしきり笑いがおさまると、アイーシャはヴェールをとった。
後宮の貴婦人は夫となる男――つまり国王――以外の男のまえではヴェールを取ってはならないしきたりだが、ここにいる宦官四人とアベルは彼女にとって男のうちに入っていないのだろう。
サライアが白絹の手巾を帯から取り出し、女主の頬や項に当てる。
「ああ、なんだかワクワクしてきたわ。ねぇ、あれを持っておいで」
あれ――。
不吉な気配が立つ。屈辱のあまり意識も朦朧としていたアベルだが、一瞬身体が凍えそうになった。
言われた巨体の宦官二人は奥に進み、恐怖のあまりぼんやりとしているアベルの前で、例の木馬を二人がかりではこんできた。
アベルは南国の深宮にあって、本当に凍えそうになった。木馬が近づくにつれて身体の血が引いてきた。だが、アイーシャの目的は、アベルが恐れていたのとは違っていたようだ。
「これは取り外しがきくのよ」
アイーシャが細い手で道具の端の螺子のようなものを器用につかむや、きしむような音がたち、木馬の背にそびえ立っていた淫具が取り外される。アベルは本能的な恐怖に身をすくませたが、またもアイーシャの目的はちがっていた。
「アーミナ、香油を持ってきて」
「はい」 アーミナが小走りで壁際の調度棚から紅玻璃の瓶を取って来る。
アベルをはじめ、皆が見ている前で、アイーシャは黒炭のように黒いその黒檀の道具に、瓶の中身を垂らした。ぬめぬめと、まるで生あるもののように淫らな道具が息づきはじめたようだ。
「ふふふふふふ」
取り外したときと逆の手順で、道具を背に戻すと、アイーシャは呆然として鎖につながれたままのアベルに艶然とした笑みを向ける。
アベルは脚を広げ腰を下ろした恥ずかしい姿勢を強いられたままで、少しでも身体を動かそうとするとエリスの手によって肩をおさえつけられてしまう。
動けず、逃げることは出来ない。目の前には魔女のような女が魔物めいた笑みを浮かべて立って自分を見ている。アベルは血の気が引いてきた。
「ふふふふふ」
だが、しかし、魔女の思惑は、今回もまたアベルの予想したものとはちがっていたようだ。
かすかな衣擦れの音がたつと、アイーシャはなんと、纏っていた衣をみずから剥ぎ取った。
「あと少し」
精神的双子のように息の合うアイーシャとアーミナは、子どものように手を打ってはやしたてる。
「あっ、ああっ、あああ!」
アベルは悔しげに眉をゆがめ、歯をくいしばって、鎖を鳴らしながら身をよじる。
胸や腹が汗に濡れて艶やかに光る。
薄い筋肉が魅惑的によじれる。
強制的に広げられている脚が屈辱に震えて、観察者たちを興奮させた。
ほぼ全裸に近い身体にまといついているのは、汗に濡れて色を変えた薄い腰布と、脱げ切ることのない檜皮色のサンダルだけである。かぎりなく全裸に近く、全裸以上に猥褻で強烈な色気を放っていた。
「おっ、出た!」
白い物体が体内から突き出、直下した瞬間、観客たちはざわめき、手をたたいた。
(ああ……)
その音を聞きながら、アベルは目線を遠くにさまよわせていた。
体中の骨がくだけたような恥辱の痛みに、もう涙も出ない。自尊心が木っ端微塵にくだけた気分だ。
そんなアベルの気持ちなど歯牙にもかけず、アイーシャは笑いはしゃぎながら言う。
「素敵、素敵。なんて最高の見せ物かしらね。こんな面白いもの見せてもらったのは、久しぶりだわ」
ひとしきり笑いがおさまると、アイーシャはヴェールをとった。
後宮の貴婦人は夫となる男――つまり国王――以外の男のまえではヴェールを取ってはならないしきたりだが、ここにいる宦官四人とアベルは彼女にとって男のうちに入っていないのだろう。
サライアが白絹の手巾を帯から取り出し、女主の頬や項に当てる。
「ああ、なんだかワクワクしてきたわ。ねぇ、あれを持っておいで」
あれ――。
不吉な気配が立つ。屈辱のあまり意識も朦朧としていたアベルだが、一瞬身体が凍えそうになった。
言われた巨体の宦官二人は奥に進み、恐怖のあまりぼんやりとしているアベルの前で、例の木馬を二人がかりではこんできた。
アベルは南国の深宮にあって、本当に凍えそうになった。木馬が近づくにつれて身体の血が引いてきた。だが、アイーシャの目的は、アベルが恐れていたのとは違っていたようだ。
「これは取り外しがきくのよ」
アイーシャが細い手で道具の端の螺子のようなものを器用につかむや、きしむような音がたち、木馬の背にそびえ立っていた淫具が取り外される。アベルは本能的な恐怖に身をすくませたが、またもアイーシャの目的はちがっていた。
「アーミナ、香油を持ってきて」
「はい」 アーミナが小走りで壁際の調度棚から紅玻璃の瓶を取って来る。
アベルをはじめ、皆が見ている前で、アイーシャは黒炭のように黒いその黒檀の道具に、瓶の中身を垂らした。ぬめぬめと、まるで生あるもののように淫らな道具が息づきはじめたようだ。
「ふふふふふふ」
取り外したときと逆の手順で、道具を背に戻すと、アイーシャは呆然として鎖につながれたままのアベルに艶然とした笑みを向ける。
アベルは脚を広げ腰を下ろした恥ずかしい姿勢を強いられたままで、少しでも身体を動かそうとするとエリスの手によって肩をおさえつけられてしまう。
動けず、逃げることは出来ない。目の前には魔女のような女が魔物めいた笑みを浮かべて立って自分を見ている。アベルは血の気が引いてきた。
「ふふふふふ」
だが、しかし、魔女の思惑は、今回もまたアベルの予想したものとはちがっていたようだ。
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