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邪淫の目覚め 一
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「え? なになに、なんて言っているの、この奴隷は?」
無邪気な乙女のような口調で言うアイーシャに、アーミナは調子を合わせた。
「欲しい、欲しい、もっと欲しい、と言っていますよ。本当に欲張りで図々しい奴隷ですね」
「まぁ……、そんなことを言っては駄目よ、アーミナ。陛下の〝奥様〟になられるお方よ。お望みなら、叶えてさしあげないとね。それじゃ」
アイーシャは近くに置かれていた籠のなかから、さらに卵をひとつつまみ出し、先ほどと同じ手順で油を滴らせる。
「さ、もうひとつ、召し上がれ」
アベルは自分のあげた悲鳴に脳を焼かれそうになった。
「ううっ! うう! うう……」
顔を見たい、というアイーシャの要望で、アベルはようやく元の姿勢にもどることができたが、次の指示は、「皆のまえで卵を産み落とせ」という淫虐なものだった。
「早く出さないと、孵ってしまうわよ」
アベルだとて一刻でもはやく体内をうごめくこの異物を吐き出したいが、身体、特に腰に力が入らないのだ。
「ほうら、ここへ早く産み落としなさい」と言って、アイーシャが油まみれの小蛇のうごめく皿を指す。
だが、アベルは卵が孵る恐怖よりも、「産み落とす」という壮絶に残酷かつ悪意に満ちた言い方に神経を逆なでされた。許容量をこえた屈辱と恥辱に正気が吹きとんだアベルは、この徹底的に不利な状況で、そっぽを向いた。
「まあ、なんて生意気な奴隷なの」
アベルが答えようとせず、目を逸らしているのが気に食わないのか、アイーシャが苛々した声をあげてせかす。
「そんなんじゃ、産めないでしょう? もっと脚を広げなさい」
せめてもの反発で、アベルは返事をしなかった。
数秒の沈黙のあと、アイーシャは宦官たちに視線を送った。主の意を心得た宦官は、先ほどとおなじようにふたたびアベルの身体をおさえつけると、それぞれ片方の脚を乱暴に引っぱる。
「あ! い、いやだ! いやだ!」
脚を広げられた分、腰が落ちる。その惨めさにアベルは泣きそうになった。
かろうじてまとわりついている帯布がアベルの腰で淫らに揺れ、アイーシャはふたたび扇を手にし、笑いこける。
「まぁ、いい恰好ね。誇り高き騎士様が、脚を広げられて、卵産みに励んでいらっしゃるのわ。さぁ、伯爵、泣いてないで、早く産みなさい。ほら、ほら」
「ああ! ああ! あああ!」
辛そうに、悔しそうにアベルは身体をよじり、首をふる。
夕日をはじくような首筋の白さが見物人たちにはまぶしく、エリスなど、いっそ切なげな、熱をふくんだ潤んだ瞳で、アベルの全身を舐めあげるように見つめている。そしておもむろに口をはさんだ。
無邪気な乙女のような口調で言うアイーシャに、アーミナは調子を合わせた。
「欲しい、欲しい、もっと欲しい、と言っていますよ。本当に欲張りで図々しい奴隷ですね」
「まぁ……、そんなことを言っては駄目よ、アーミナ。陛下の〝奥様〟になられるお方よ。お望みなら、叶えてさしあげないとね。それじゃ」
アイーシャは近くに置かれていた籠のなかから、さらに卵をひとつつまみ出し、先ほどと同じ手順で油を滴らせる。
「さ、もうひとつ、召し上がれ」
アベルは自分のあげた悲鳴に脳を焼かれそうになった。
「ううっ! うう! うう……」
顔を見たい、というアイーシャの要望で、アベルはようやく元の姿勢にもどることができたが、次の指示は、「皆のまえで卵を産み落とせ」という淫虐なものだった。
「早く出さないと、孵ってしまうわよ」
アベルだとて一刻でもはやく体内をうごめくこの異物を吐き出したいが、身体、特に腰に力が入らないのだ。
「ほうら、ここへ早く産み落としなさい」と言って、アイーシャが油まみれの小蛇のうごめく皿を指す。
だが、アベルは卵が孵る恐怖よりも、「産み落とす」という壮絶に残酷かつ悪意に満ちた言い方に神経を逆なでされた。許容量をこえた屈辱と恥辱に正気が吹きとんだアベルは、この徹底的に不利な状況で、そっぽを向いた。
「まあ、なんて生意気な奴隷なの」
アベルが答えようとせず、目を逸らしているのが気に食わないのか、アイーシャが苛々した声をあげてせかす。
「そんなんじゃ、産めないでしょう? もっと脚を広げなさい」
せめてもの反発で、アベルは返事をしなかった。
数秒の沈黙のあと、アイーシャは宦官たちに視線を送った。主の意を心得た宦官は、先ほどとおなじようにふたたびアベルの身体をおさえつけると、それぞれ片方の脚を乱暴に引っぱる。
「あ! い、いやだ! いやだ!」
脚を広げられた分、腰が落ちる。その惨めさにアベルは泣きそうになった。
かろうじてまとわりついている帯布がアベルの腰で淫らに揺れ、アイーシャはふたたび扇を手にし、笑いこける。
「まぁ、いい恰好ね。誇り高き騎士様が、脚を広げられて、卵産みに励んでいらっしゃるのわ。さぁ、伯爵、泣いてないで、早く産みなさい。ほら、ほら」
「ああ! ああ! あああ!」
辛そうに、悔しそうにアベルは身体をよじり、首をふる。
夕日をはじくような首筋の白さが見物人たちにはまぶしく、エリスなど、いっそ切なげな、熱をふくんだ潤んだ瞳で、アベルの全身を舐めあげるように見つめている。そしておもむろに口をはさんだ。
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