黄金郷の夢

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
52 / 150

毒園の花 九

しおりを挟む
「……綺麗な肌ね」
 憮然と、アイーシャが呟く。
 夕暮れを迎えてうつろいでいく光のなか、アベルの白い肌は乳白色の玉のように、ひんやりと輝いて見え、アイーシャはますます不機嫌そうな顔になった。
 この三日間、アーミナたちによって香油を塗られて揉まれた肌は、いっそう張りつめ、つややかに、しっとりとして、蠱惑的だ。心なしか、ほのかに薔薇色に燃えて、見る者になにかを訴えているようだ。
「ふうん」
 恋敵となる憎らしい男の身体を、アイーシャは複雑な顔で見下ろし、左手で撫でてみた。
 若い男の、濡れたようにみずみずしい肌と、白絹の奥に鋼を秘めたような手応えのある肉。
 我知らず、アイーシャは目を細めていた。
 どれほど嫌いな相手であっても、その相手の持つ金貨や宝石、絹の美衣を憎むことはできないように、アイーシャは宝玉を前にした女盗賊のように、舌なめずりせんばかりに、細い手でアベルの臀部を揉みはじめた。
「うう……」
 女の手を感じてアベルは必死に逃れようと身体をひねるが、上半身をおさえこんでいる宦官たちの手はゆるがない。
「まるで肌に吸いついてくるみたいだわ……」
 薄いヴェールごしに、アイーシャが舌を出して唇を舐めたのがアーミナにもわかる。
(本当に好き者だな、この女)
 そんな意味をこめてエリスに目配せをおくるアーミナ。エリスはまた苦笑しながらも、同意をしめして頷く。
 ぽたり、ぽたり、と油がアベルの中心に滴らせられる。アベルの背が宦官の手の下で一瞬、る。
「ああ、よせ、やめろ……!」
 激しい嫌悪と恐怖にせっつかれ、アベルは首を振るが、誰ひとり耳を貸す者はいない。
「さぁ、入れるわよ。覚悟はいいかしら、伯爵?」
 そこに、固いものが当てがわれたのをさとって、アベルは唇を噛んだ。
(あ、ああ……)
 アイーシャの指に力が入ったのをアベルは感じた。
「ほら、感じるでしょ。先が入っていくわ」
「うう!」
「ほら、ほら、入っていく」
 どこまでも意地悪く、アイーシャは、わざとゆっくりと、弱い力で卵を押しこむ。
 だが、その油でぬめった卵は、薄桃の肉のはざまに、たしかに入っていく。
 アベルは気も狂わんばかりに首を振った。
「い、いやだ、いや! やめろ、やめてくれ! ……ひぃっ! あ、ああ……」
 今まで入れられた宝玉よりも大きな球体が、ゆっくりと、だがしっかりと確実に、アベルのあわい桃色の肉を割って、どんどん侵入してくるのがわかる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...