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毒園の花 七
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「よ、よせ! く、来るな!」
「まぁ、アルベニス伯爵はお顔に似合わず、なかなかの豪のお方と聞いておりますのに、こんな小さな卵を怖れますの?」
鎖に戒めらた身体で後退っても限度がある。しかも、巨体の宦官二人が近づいてきてアベルをおさえこむ。
「エ、エリス、止めさせてくれ!」
思わずエリスに助けを求めたが、エリスは困ったように笑うと、アーミナを見る。三人のときは主導権を握っているのはカイだが、二人のときはアーミナが強いようだ。アーミナが首を振ると、もう何も言おうとしない。
「ちょうど良かったじゃないか。明日からは張り型で慣らすのだから、準備運動だと思えばいい」
アーミナは、怯えているアベルを見て、面白くてならないというふうに邪悪な笑みを浮かべた。
宦官の無骨な手に腰布をたくしあげられ、アベルは小さく悲鳴をあげた。
「よ、よせ!」
「あら。すでにここには〝先客〟がいたのね。ほほほほほ」
アイーシャが背をそらして笑い、アーミナも失笑を浮かべている。
「うう……」
アベルは悔しげに身をよじるしかない。
「あ、よせ!」
身をかがめたアイーシャが、空いている左手で、アベルの身体から垂れている銀輪をつまんだのだ。
「ひぃっ! ああ、やめろ!」
乱暴に引かれて、アベルは子どものように、首を、いや、いや、と振る。
「ふふふふふ。随分お楽しみのようね。こんなにしっかり咥えこんで。でも、これには、そろそろご退出願いましょうか。すぐに新しい玩具を入れてあげるわ」
半分まで出てしまうと、今度は逆にアイーシャの手つきはやさしくなり、ゆっくりと、蒼い連なりを引き出す。完全に外に出る最後の瞬間、サファイアの玉石はアベルの内側であがいたようだ。
「はあっ……!」
「あら、ま」
アベルが見せてしまった生理的な身体の反応は、その場にいる者たちの目を引き、アーミナやアイーシャの失笑を買った。
「もう濡らしているの? なんてはしたない。サライア、ご覧なさい。白人女は好色だと聞いたけれど、この男奴隷も相当なものね」
「まったくでございますわ、アイーシャ様」
意識がしっかりしていれば、彼女たちがヴェールや白網で顔を隠すのは、口のなかに隠し持っている牙を見せないためではないか、とアベルは思ったことだろう。
「はあ……」
屈辱の果てにおとずれた一瞬の快感に、アベルは数秒、忘我の境地をさまよっていたが、アーミナによってその頬を軽くはたかれ、無理やり現世に連れ戻される。
「ああ……」
完全に覚醒した意識のなかで、アベルの碧の瞳に最初に映ったのは、アイーシャがつまんでいる白く光る卵だ。「アイーシャ様、これを」
エリスが香油のはいった紅玻璃の小瓶を差し出す。
「まだこんなものを使わなければ駄目なの?」
「まぁ、アルベニス伯爵はお顔に似合わず、なかなかの豪のお方と聞いておりますのに、こんな小さな卵を怖れますの?」
鎖に戒めらた身体で後退っても限度がある。しかも、巨体の宦官二人が近づいてきてアベルをおさえこむ。
「エ、エリス、止めさせてくれ!」
思わずエリスに助けを求めたが、エリスは困ったように笑うと、アーミナを見る。三人のときは主導権を握っているのはカイだが、二人のときはアーミナが強いようだ。アーミナが首を振ると、もう何も言おうとしない。
「ちょうど良かったじゃないか。明日からは張り型で慣らすのだから、準備運動だと思えばいい」
アーミナは、怯えているアベルを見て、面白くてならないというふうに邪悪な笑みを浮かべた。
宦官の無骨な手に腰布をたくしあげられ、アベルは小さく悲鳴をあげた。
「よ、よせ!」
「あら。すでにここには〝先客〟がいたのね。ほほほほほ」
アイーシャが背をそらして笑い、アーミナも失笑を浮かべている。
「うう……」
アベルは悔しげに身をよじるしかない。
「あ、よせ!」
身をかがめたアイーシャが、空いている左手で、アベルの身体から垂れている銀輪をつまんだのだ。
「ひぃっ! ああ、やめろ!」
乱暴に引かれて、アベルは子どものように、首を、いや、いや、と振る。
「ふふふふふ。随分お楽しみのようね。こんなにしっかり咥えこんで。でも、これには、そろそろご退出願いましょうか。すぐに新しい玩具を入れてあげるわ」
半分まで出てしまうと、今度は逆にアイーシャの手つきはやさしくなり、ゆっくりと、蒼い連なりを引き出す。完全に外に出る最後の瞬間、サファイアの玉石はアベルの内側であがいたようだ。
「はあっ……!」
「あら、ま」
アベルが見せてしまった生理的な身体の反応は、その場にいる者たちの目を引き、アーミナやアイーシャの失笑を買った。
「もう濡らしているの? なんてはしたない。サライア、ご覧なさい。白人女は好色だと聞いたけれど、この男奴隷も相当なものね」
「まったくでございますわ、アイーシャ様」
意識がしっかりしていれば、彼女たちがヴェールや白網で顔を隠すのは、口のなかに隠し持っている牙を見せないためではないか、とアベルは思ったことだろう。
「はあ……」
屈辱の果てにおとずれた一瞬の快感に、アベルは数秒、忘我の境地をさまよっていたが、アーミナによってその頬を軽くはたかれ、無理やり現世に連れ戻される。
「ああ……」
完全に覚醒した意識のなかで、アベルの碧の瞳に最初に映ったのは、アイーシャがつまんでいる白く光る卵だ。「アイーシャ様、これを」
エリスが香油のはいった紅玻璃の小瓶を差し出す。
「まだこんなものを使わなければ駄目なの?」
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