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調教開始 二
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恐怖と屈辱、怒りのあまり、褥の上で呆然としているアベルに王は冷ややかな声で宣告した。
「まずは、そなたの衣を脱がせよう。それが夫婦の営みの最初じゃ」
「や、やめろ! い、いやだ!」
「動くでない、動くと、切ってしまうぞ」
王が無言で目配せをすると、ハルムが恭しく、黒檀の長方形の箱をさしだす。息を飲んで見ているアベルの前で、ディオ王は黒鞭をふりあげた。
(殴られる!)
咄嗟に身構えたアベルだが、空を切る音がひびいた瞬間、胸あたりの衣が割れた。
「じっとしておれ。衣を落とすだけじゃ」
「あっ、ああ……!」
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、と鞭のしなる音が数秒つづいたかと思うと、アベルのまわりには布の残骸だけがあった。ずたずたにされた布片が、膝のあたりにからまっている。
「この鞭先には刃物が仕込まれておるのじゃ」
得意げに言うと、まだ驚きが冷めないでいるアベルを面白そうに身ながら、ディオ王は褥の上にあがって来た。純白の衣が敷布と擦れることで起こる衣擦れの音が、異常に淫らに聞こえる。
「よ、よせ、来るな!」
衣は奪われても、首と手を戒めている黄金の輪はそのままだ。鎖でつながっているので、動きにくいが、それでも必死にアベルは後退する。幸い、下肢をまもる帯布はそのままだ。
「こ、こんな……! 嫌だ!」
背後では大勢の人間の息遣いが聞こえる。この衆人環視のなかで男に弄ばれるなど耐えられない。アベルは長方形の褥の端まで後退した。
「この身体は余のものじゃ。もっとよく見せるのじゃ」
「や、やめろ」
視線で嬲られながら、アベルは首を振った。
「ふむ……。本当にそなたは色が白いな。胸も腹も引き締まっておる」
馬か牛でも検分するようにディオ王はやけに生真面目に言う。それがいっそうアベルをいたたまれなくする。
「さらに鍛えれば、戦士としても使えそうじゃが、今のところ余は傭兵には事足りておるので、やはりそなたは褥で鍛えることにしよう」
「ふ、ふざけたことを言うな!」
客席から笑い声が響いてくる。
「衣を脱がした次は、ここじゃ」
「ひっ!」
いきなり、ディオ王は右手でアベルの右胸をつかんだ。
「うう……よせ!」
王の手によって胸を二度、三度揉まれ、人差し指と親指で乳首を摘ままれ、アベルは悲鳴をあげそうになる。
「ふうむ……。早咲きの紅薔薇に蜂蜜をまぶしたような色じゃな」
先端を摘まみあげられ、アベルは痛みと怒りに身をよじった。
「ひぃっ! よ、よせ!」
「まずは、そなたの衣を脱がせよう。それが夫婦の営みの最初じゃ」
「や、やめろ! い、いやだ!」
「動くでない、動くと、切ってしまうぞ」
王が無言で目配せをすると、ハルムが恭しく、黒檀の長方形の箱をさしだす。息を飲んで見ているアベルの前で、ディオ王は黒鞭をふりあげた。
(殴られる!)
咄嗟に身構えたアベルだが、空を切る音がひびいた瞬間、胸あたりの衣が割れた。
「じっとしておれ。衣を落とすだけじゃ」
「あっ、ああ……!」
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、と鞭のしなる音が数秒つづいたかと思うと、アベルのまわりには布の残骸だけがあった。ずたずたにされた布片が、膝のあたりにからまっている。
「この鞭先には刃物が仕込まれておるのじゃ」
得意げに言うと、まだ驚きが冷めないでいるアベルを面白そうに身ながら、ディオ王は褥の上にあがって来た。純白の衣が敷布と擦れることで起こる衣擦れの音が、異常に淫らに聞こえる。
「よ、よせ、来るな!」
衣は奪われても、首と手を戒めている黄金の輪はそのままだ。鎖でつながっているので、動きにくいが、それでも必死にアベルは後退する。幸い、下肢をまもる帯布はそのままだ。
「こ、こんな……! 嫌だ!」
背後では大勢の人間の息遣いが聞こえる。この衆人環視のなかで男に弄ばれるなど耐えられない。アベルは長方形の褥の端まで後退した。
「この身体は余のものじゃ。もっとよく見せるのじゃ」
「や、やめろ」
視線で嬲られながら、アベルは首を振った。
「ふむ……。本当にそなたは色が白いな。胸も腹も引き締まっておる」
馬か牛でも検分するようにディオ王はやけに生真面目に言う。それがいっそうアベルをいたたまれなくする。
「さらに鍛えれば、戦士としても使えそうじゃが、今のところ余は傭兵には事足りておるので、やはりそなたは褥で鍛えることにしよう」
「ふ、ふざけたことを言うな!」
客席から笑い声が響いてくる。
「衣を脱がした次は、ここじゃ」
「ひっ!」
いきなり、ディオ王は右手でアベルの右胸をつかんだ。
「うう……よせ!」
王の手によって胸を二度、三度揉まれ、人差し指と親指で乳首を摘ままれ、アベルは悲鳴をあげそうになる。
「ふうむ……。早咲きの紅薔薇に蜂蜜をまぶしたような色じゃな」
先端を摘まみあげられ、アベルは痛みと怒りに身をよじった。
「ひぃっ! よ、よせ!」
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