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凌辱の宴 一
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「は、はあ」
「つづきましては、後宮の女官長からの贈り物でございます。これに」
驚いたことに恭しく小箱を持って来たのは、上半身裸の女だった。他の女たちが皆つつましやかにヴェールをまとっているのとはまったく逆に、彼女はなんと大きな胸をほとんど丸出しにしており、かすかに細い真紅の帯布で乳首のあたりを縛っているだけだ。ゆたかな、かすかに鳶色がかった髪が藻のように背で波打っている。
アベルは彼女の薄茶色の瞳と目が合って、思わず赤面していた。
「カッサンドラ、おまえの贈り物はなんだ?」
「こちらでございます、陛下」
カッサンドラと呼ばれた女は得意げに箱を開けた。宝石か、と思って目を凝らしたアベルはさらにまた赤面してしまった。
(な、なんだ……?)
一瞬、よくわからずさらに目を凝らしている異国の青年貴族の様子が面白いのか、座は失笑に満ちた。
白い、象牙でできたその道具は……。
「張り型だ。見たことはないのか?」
呆れたように言うディオ王の言葉に、やっとその道具の用途を理解したアベルは耳たぶまで熱くなったのを感じた。
(は、話には聞いていたが……、あれがそういう物なのか)
臣下の一人がつぶやくのが聞こえてきた。
「やれやれ、無垢な花嫁さんだ」
その声にまた笑い声がかさなる。
アベルは決まり悪くて仕方ない。
さらに、別の女が持ってきた宝石箱は……アベルは目を剝いた。
「黄金の鎖と首輪。それに腕輪だ」
ディオ王の説明に、アベルは怒りのあまり立ち上がっていた。結婚の祝いに持ってくるような物だろうか。
(我が国への侮辱だ! 王女への冒涜だ!)
よっぽどこのまま席を蹴って出ていこうかと迷っていると、さらにまた数人の男たちが箱を持ってきた。男たちは腰帯ひとつだけの姿だ。全員、屈強そうな体躯だが、その目はひどく暗い。
「彼らは皆、戦でとらえた捕虜たちだ。去勢しておる。儂とおなじ宦官だ」
ハルムの言葉にアベルは背が寒くなった。戦で負けた敵兵を去勢するという習慣は大陸にはない。痛ましいものを見る想いで彼らを見ていたが、それぞれの捧げもつ箱の中身を見ると、血の気が引いた。
「側室様たちからの贈り物でございます」
ハラムが出席者たちに滔々と伝えるのを、アベルは呆然と聞いていた。
それはどれも閨でつかう淫靡な道具だったのだ。
さらに悪趣味なことに、ひときわ大柄な男は腰に亀の甲羅でこしらえた道具を革帯でくくり付けていた。あまりの悪趣味さに、アベルは吐き気すらしてきた。
(なんという下劣な……)
「つづきましては、後宮の女官長からの贈り物でございます。これに」
驚いたことに恭しく小箱を持って来たのは、上半身裸の女だった。他の女たちが皆つつましやかにヴェールをまとっているのとはまったく逆に、彼女はなんと大きな胸をほとんど丸出しにしており、かすかに細い真紅の帯布で乳首のあたりを縛っているだけだ。ゆたかな、かすかに鳶色がかった髪が藻のように背で波打っている。
アベルは彼女の薄茶色の瞳と目が合って、思わず赤面していた。
「カッサンドラ、おまえの贈り物はなんだ?」
「こちらでございます、陛下」
カッサンドラと呼ばれた女は得意げに箱を開けた。宝石か、と思って目を凝らしたアベルはさらにまた赤面してしまった。
(な、なんだ……?)
一瞬、よくわからずさらに目を凝らしている異国の青年貴族の様子が面白いのか、座は失笑に満ちた。
白い、象牙でできたその道具は……。
「張り型だ。見たことはないのか?」
呆れたように言うディオ王の言葉に、やっとその道具の用途を理解したアベルは耳たぶまで熱くなったのを感じた。
(は、話には聞いていたが……、あれがそういう物なのか)
臣下の一人がつぶやくのが聞こえてきた。
「やれやれ、無垢な花嫁さんだ」
その声にまた笑い声がかさなる。
アベルは決まり悪くて仕方ない。
さらに、別の女が持ってきた宝石箱は……アベルは目を剝いた。
「黄金の鎖と首輪。それに腕輪だ」
ディオ王の説明に、アベルは怒りのあまり立ち上がっていた。結婚の祝いに持ってくるような物だろうか。
(我が国への侮辱だ! 王女への冒涜だ!)
よっぽどこのまま席を蹴って出ていこうかと迷っていると、さらにまた数人の男たちが箱を持ってきた。男たちは腰帯ひとつだけの姿だ。全員、屈強そうな体躯だが、その目はひどく暗い。
「彼らは皆、戦でとらえた捕虜たちだ。去勢しておる。儂とおなじ宦官だ」
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それはどれも閨でつかう淫靡な道具だったのだ。
さらに悪趣味なことに、ひときわ大柄な男は腰に亀の甲羅でこしらえた道具を革帯でくくり付けていた。あまりの悪趣味さに、アベルは吐き気すらしてきた。
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