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七
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だが、聞こえてきた足音に、あわてて涙をこらえる。
襖の開く音とともに、揶揄の声が降ってきた。
「どうだ? 玩具は気に入ったか?」
(くっ……)
男は背広は脱いでおり、ネクタイもしていない。つい先ほどまでくつろいでいたらしく、くだけた格好だ。
ずかずかと入ってくると、敬のすぐ側で胡坐をかき、さも面白そうな顔で敬の苦悶を観察している。
「おや、もう漏らしているのか?」
「あっ、よせ!」
男の手が伸びてきて、敬の中心を襦袢の布ごしにまさぐる。
「いいな、その様は。いかにも、さらわれた姫君というふうだな」
緋色の襦袢姿を揶揄しているのだろう。敬は恥辱に唇を噛む。
「へ、変態野郎!」
言った刹那、敬は身をよじりそうになった。
「うう……」
瀬津が布越しに掌に力を込めたのだ。
敬の苦痛にゆがむ顔を堪能しながら、瀬津は襦袢の前をあらわにする。
敬は次々と与えられる責めに、ただひたすら目を閉じて、耐えるしかない。
「ちょっとは我慢することも覚えないとな」
その声にかすかに目を開けた敬に向かって、これみよがしにズボンの尻ポケットから取り出した物を見せた。
濃紫……小紫色の紐。
和装に使われる優美な道具をふりかざすと、あおむけにされている敬からは見えないが、敬の雄の象徴の根本をそれで、やんわりと縛ってしまう。
「はぅ……!」
紐の感触に敬は首を横に振った。
「生意気な態度の罰として、しばらくはおあずけだ」
言いながら、先端を親指と人差し指でつまみあげ、ぐりぐり、と揉んできた。
「ひぃ――」
瀬津の愉快そうな笑い声が暗い部屋に響く。
はぁっ……! ああっ……! ああっ……! も、もう……。
そんな、信じられないほど淫らな喘ぎ声が薄闇に響く。
自分がこんなみっともない声をあげていることが信じられず、敬は五体を燃やしながら、ひたすら苦しみに耐えていた。
襦袢はすでに汗でびっしょりと湿っている。さらに、下肢のあたりは、だらだらとこぼした淫らな滴りで無残なことになっている。小紫の紐も敬の堪えきれなかった粗相のせいで、色を変えている。
襖の開く音とともに、揶揄の声が降ってきた。
「どうだ? 玩具は気に入ったか?」
(くっ……)
男は背広は脱いでおり、ネクタイもしていない。つい先ほどまでくつろいでいたらしく、くだけた格好だ。
ずかずかと入ってくると、敬のすぐ側で胡坐をかき、さも面白そうな顔で敬の苦悶を観察している。
「おや、もう漏らしているのか?」
「あっ、よせ!」
男の手が伸びてきて、敬の中心を襦袢の布ごしにまさぐる。
「いいな、その様は。いかにも、さらわれた姫君というふうだな」
緋色の襦袢姿を揶揄しているのだろう。敬は恥辱に唇を噛む。
「へ、変態野郎!」
言った刹那、敬は身をよじりそうになった。
「うう……」
瀬津が布越しに掌に力を込めたのだ。
敬の苦痛にゆがむ顔を堪能しながら、瀬津は襦袢の前をあらわにする。
敬は次々と与えられる責めに、ただひたすら目を閉じて、耐えるしかない。
「ちょっとは我慢することも覚えないとな」
その声にかすかに目を開けた敬に向かって、これみよがしにズボンの尻ポケットから取り出した物を見せた。
濃紫……小紫色の紐。
和装に使われる優美な道具をふりかざすと、あおむけにされている敬からは見えないが、敬の雄の象徴の根本をそれで、やんわりと縛ってしまう。
「はぅ……!」
紐の感触に敬は首を横に振った。
「生意気な態度の罰として、しばらくはおあずけだ」
言いながら、先端を親指と人差し指でつまみあげ、ぐりぐり、と揉んできた。
「ひぃ――」
瀬津の愉快そうな笑い声が暗い部屋に響く。
はぁっ……! ああっ……! ああっ……! も、もう……。
そんな、信じられないほど淫らな喘ぎ声が薄闇に響く。
自分がこんなみっともない声をあげていることが信じられず、敬は五体を燃やしながら、ひたすら苦しみに耐えていた。
襦袢はすでに汗でびっしょりと湿っている。さらに、下肢のあたりは、だらだらとこぼした淫らな滴りで無残なことになっている。小紫の紐も敬の堪えきれなかった粗相のせいで、色を変えている。
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