煉獄の歌 

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
63 / 181

十三

しおりを挟む
 何が良いのか敬にはさっぱりわからず、怒鳴りつけてやりたいが、声をあげる気力がわかない。そんな敬を見下ろす瀬津の目はひどく冷たく、瞳のなかでは青白い炎が燃えているようだ。
「若頭、あなたが欲しいのは、二流、三流の男娼ですか? この子を一流の……最高級の商品にしたくありませんか?」
「そりゃ、もちろん一流の男娼、最高級の商品が欲しいさ」
「それなら、それだけの手間や情熱をかけてください」
 自分をまったく無視して交わされる男たちの身勝手な言い草に、敬は悔し涙をながしたが、それはむなしく座布団にこぼれ、布地の色を変えるだけだった。
「そうか。それもいいな。俺の手で、男娼に堕としてやろう。これから手間暇かけて、俺自身の手と肉で、一流の男娼に仕込んでやるぞ。……それが最高の復讐だ……」
 最後の呟きを気にするいとまもなく、敬は瀬津の手によって腰を高々と上げさせられる。
「ううっ……! は、はなせ!」
「よしよし。おお、可愛い蕾だ。待ってろ、このいじらしい菊の蕾に、今俺のものをぶちこんでやるからな」
 わざとのように下卑た言葉を吐く瀬津に、敬はおぞましさのあまり全身をこわばらせた。
「は、はなせ! 嫌だ、嫌!」
 上半身は大林におさえこまれ、逃れるすべもなく、瀬津の手によって脚をぎりぎりまで開かされる。
しかも、この屈辱的な姿のすべてを鬼若に見られているのだ。
 いっそ、死にたい、と思うほどの恥辱と羞恥にさいなまれ、さらにまた指でほぐされ、あられもなく身をよじる。
 やっと指が離れたかと、一瞬かすかに安堵した敬だが、次の瞬間には、指より太く固いものが、無垢な場所にあてがわれた。

「ひぃぃぃ――!」
 刹那せつな、敬は見栄も体裁もわすれて不様に悲鳴をあげていた。
「ひっ! ひぃっ! いや、い、やだ!」
 こらえきれなかった涙が滂沱ぼうだのごとく頬を流れる。
 そんな悲惨な状態の敬にひとかけらの憐憫の情も感じることはなく、瀬津はおのれの欲望を押し込んでくる。
 大林も鬼若も止めようとはしない。それどころか、鬼若の冷ややかな目は、かすかに歓喜を秘めてきらめいた。
「ほう……。やはり、素質はあるようですね」
 敬自身、信じられないことだが、これほど心身に耐えがたい苦痛を押しつけられているというのに、若々しい芽はきざしかけているのだ。
 媚薬の力もあるが、瀬津が力まかせに押し込むかに見せて、実はたくみに敬の官能を引きずりだしていることに気づかないのは敬だけだった。大林も鬼若も、さして驚きもせず、敬の肉体の変化を見守っている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

学校の脇の図書館

理科準備室
BL
図書係で本の好きな男の子の「ぼく」が授業中、学級文庫の本を貸し出している最中にうんこがしたくなります。でも学校でうんこするとからかわれるのが怖くて必死に我慢します。それで何とか終わりの会までは我慢できましたが、もう家までは我慢できそうもありません。そこで思いついたのは学校脇にある市立図書館でうんこすることでした。でも、学校と違って市立図書館には中高生のおにいさん・おねえさんやおじいさんなどいろいろな人が・・・・。「けしごむ」さんからいただいたイラスト入り。

君を独占したい。

檮木 蓮
BL
性奴隷として売られたユト 売られる前は、平凡な日を送っていたが 父の倒産をきっかけに人生が 変わった。 そんな、ユトを買ったのは…。

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ぼくに毛が生えた

理科準備室
BL
昭和の小学生の男の子の「ぼく」はクラスで一番背が高くて5年生になったとたんに第二次性徴としてちんちんに毛が生えたり声変わりしたりと身体にいろいろな変化がおきます。それでクラスの子たちにからかわれてがっかりした「ぼく」は学校で偶然一年生の男の子がうんこしているのを目撃し、ちょっとアブノーマルな世界の性に目覚めます。

三限目の国語

理科準備室
BL
昭和の4年生の男の子の「ぼく」は学校で授業中にうんこしたくなります。学校の授業中にこれまで入学以来これまで無事に家までガマンできたのですが、今回ばかりはまだ4限目の国語の授業で、給食もあるのでもう家までガマンできそうもなく、「ぼく」は授業をこっそり抜け出して初めての学校のトイレでうんこすることを決意します。でも初めての学校でのうんこは不安がいっぱい・・・それを一つ一つ乗り越えていてうんこするまでの姿を描いていきます。「けしごむ」さんからいただいたイラスト入り。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

処理中です...