61 / 181
十一
しおりを挟む
少し体勢が楽になった気はするが、心はいっそうきしむ。こんなことぐらいで、騙されるものか、と伝えたくて、逃れようと無駄とわかっていてもあがいてみたが、あっさりと大林の腕におさえこまれ、さらに、剝きだしの尻を瀬津に〝お仕置き〟とばかりに平手ではたかれる。屈辱の連続である。
「くぅ……」
「ほれ、もっと尻をあげて、先生によく見てもらえ」
瀬津の手によって、無防備な臀部をさらにあらわにされ、敬は内臓から絞り出すような無念の罵言を吐いた。
「へ、変態ども! ち、ちっくしょう! 覚えてろ!」
「そら、膝を立てて、もっと広げろ」
「うう……!」
どれほど抗っても、もがいても、大柄な男二人の腕力にかなうことはなく、敬は醜態をさらしつづけるしかなかった。
その後も、たっぷり時間をかけて瀬津の指は敬のなかでうごめき、敬の気骨を内側から蕩かしていく。
そして、とうとう執拗な指淫によって、敬の堰は打ち壊されてしまった。
「ああ、だ、駄目だ……!」
「お? いくか? なんだ、もう終わりか?」
残念そうに言いながら、瀬津の指は敬の秘められた官能の源を探りあてたようだ。
「うっ……」
敬は苦しい体勢でのけぞらずにいられない。
「はぁ! あああっ!」
視界一面、火花が散る。
事前に察した鬼若が懐紙をあてがってくれたが、もしかしたら彼の手を汚してしまったかもしれない。そんなことを思って、また敬は羞恥に傷ついた。
初戦は散々たる敗北だった。
「ううっ! うう……」
敬はこらえきれずに、座布団につっぷして嗚咽した。
「初心者とは思えない。……身体は向いてなくとも、心は向いているのかもしれませんね」
感心したような鬼若の呟きが耳を刺す。
「どうだ、先生? これから一ヶ月たっぷり仕込めば、『龍風城』のスターになれるぜ。開店したら、店一番の売れっ子間違いなしだな」
その言葉は、すでに充分打ちのめされていた敬の心をさらに叩きつぶすものだった。
「うっ……、ううっ……! ううう!」
「泣いてる場合じゃないぞ、敬。こんなものは序の口だ。これから立派な男娼になるため、どんどん勉強してもらうことになるからな。覚悟しろよ。ほら、次はこれだ」
いつの間にか、大林に用意させていたらしく、瀬津の手には漆黒の漆塗りの箱がある。
長方形のその箱から取り出したのは……。
「どうだ? 高級品だぞ」
取り出したのは、鼈甲の張型だ。
「くぅ……」
「ほれ、もっと尻をあげて、先生によく見てもらえ」
瀬津の手によって、無防備な臀部をさらにあらわにされ、敬は内臓から絞り出すような無念の罵言を吐いた。
「へ、変態ども! ち、ちっくしょう! 覚えてろ!」
「そら、膝を立てて、もっと広げろ」
「うう……!」
どれほど抗っても、もがいても、大柄な男二人の腕力にかなうことはなく、敬は醜態をさらしつづけるしかなかった。
その後も、たっぷり時間をかけて瀬津の指は敬のなかでうごめき、敬の気骨を内側から蕩かしていく。
そして、とうとう執拗な指淫によって、敬の堰は打ち壊されてしまった。
「ああ、だ、駄目だ……!」
「お? いくか? なんだ、もう終わりか?」
残念そうに言いながら、瀬津の指は敬の秘められた官能の源を探りあてたようだ。
「うっ……」
敬は苦しい体勢でのけぞらずにいられない。
「はぁ! あああっ!」
視界一面、火花が散る。
事前に察した鬼若が懐紙をあてがってくれたが、もしかしたら彼の手を汚してしまったかもしれない。そんなことを思って、また敬は羞恥に傷ついた。
初戦は散々たる敗北だった。
「ううっ! うう……」
敬はこらえきれずに、座布団につっぷして嗚咽した。
「初心者とは思えない。……身体は向いてなくとも、心は向いているのかもしれませんね」
感心したような鬼若の呟きが耳を刺す。
「どうだ、先生? これから一ヶ月たっぷり仕込めば、『龍風城』のスターになれるぜ。開店したら、店一番の売れっ子間違いなしだな」
その言葉は、すでに充分打ちのめされていた敬の心をさらに叩きつぶすものだった。
「うっ……、ううっ……! ううう!」
「泣いてる場合じゃないぞ、敬。こんなものは序の口だ。これから立派な男娼になるため、どんどん勉強してもらうことになるからな。覚悟しろよ。ほら、次はこれだ」
いつの間にか、大林に用意させていたらしく、瀬津の手には漆黒の漆塗りの箱がある。
長方形のその箱から取り出したのは……。
「どうだ? 高級品だぞ」
取り出したのは、鼈甲の張型だ。
0
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。


組長と俺の話
性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話
え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある?
( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい
1日1話かけたらいいな〜(他人事)
面白かったら、是非コメントをお願いします!

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる