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八
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「や、やめろ!」
「本当に世話の焼ける餓鬼だな。来月には開店だというのに。これは、ちょっとばかし先生、調教を急いでもらわないと」
そう言いつつも、瀬津の口元には余裕の微笑が刻まれている。
「本当に無理ばかり言ってきますね、あなたは。いつものことですが」
「は、はなせよ! はなせって!」
じたばたと抗ってはみても、かなうわけもなく、敬は瀬津や大林によって四つん這いの惨めな格好を強いられた。
「ほれ」
「ううっ……」
上半身を大林におさえこまれ、瀬津によって脚を開かされて、隠すこともできない箇所に鬼若の視線を感じて、敬は気が狂うほどの羞恥にさいなまれた。
「どうだ? こいつの、お道具は?」
ふうむ……。老成した学者のように鬼若が唸る声が、敬の神経を削ぐ。
「見事なものですね。……可憐でつつましい菊の花です」
「はぁ!」
ツン……と、そこに何かが触れてきて、敬の背を反らせる。鬼若が指で調べているのだと思うと、気が狂うほどの羞恥が湧く。
瀬津に触れられたときよりも、その接触は小さく軽いものだが、絶妙な刺激をともなって、微妙に鬼若の言う菊の花の蕾をいじってくる。
「あっ、ああ! や、やめ、やめろ! やめてくれ!」
たまらなくなって、敬は叫んだ。
ふうむ……。またも、低い唸り声。
「少しいじらしい気がしますね。この子はこっちは向いてないかもしれません。売り出すにしても、しばらくは本番はやめませんか。もともとこっちの気質はないようですし」
「それをなんとか売れるようにするために、先生を呼んだんですよ。このきかんきな坊主を、男好きにして、自分から腰振って男を誘えるように仕込んでほしいんでね」
おぞましいことを言う瀬津に、敬はこらえきれず不自由な体勢で身体をねじって、罵りの声をあげた。
「だ、誰がそんなことするか! はなせよ! はなせって、この卑怯者ども!」
「先生、かまわないから仕込んでください」
「ふうむ……」
プツリ――!
「はぁっ……!」
そんな音なき音が聞こえた気がして敬は四肢にしびれを感じた。
「う、うう!」
間違いない。敬はきつく目を閉じた。
鬼若の細い、女のように繊細そうな指が、自分の体内に侵入してきたのだ。
(あ、そ、そんな……、そんな!)
「本当に世話の焼ける餓鬼だな。来月には開店だというのに。これは、ちょっとばかし先生、調教を急いでもらわないと」
そう言いつつも、瀬津の口元には余裕の微笑が刻まれている。
「本当に無理ばかり言ってきますね、あなたは。いつものことですが」
「は、はなせよ! はなせって!」
じたばたと抗ってはみても、かなうわけもなく、敬は瀬津や大林によって四つん這いの惨めな格好を強いられた。
「ほれ」
「ううっ……」
上半身を大林におさえこまれ、瀬津によって脚を開かされて、隠すこともできない箇所に鬼若の視線を感じて、敬は気が狂うほどの羞恥にさいなまれた。
「どうだ? こいつの、お道具は?」
ふうむ……。老成した学者のように鬼若が唸る声が、敬の神経を削ぐ。
「見事なものですね。……可憐でつつましい菊の花です」
「はぁ!」
ツン……と、そこに何かが触れてきて、敬の背を反らせる。鬼若が指で調べているのだと思うと、気が狂うほどの羞恥が湧く。
瀬津に触れられたときよりも、その接触は小さく軽いものだが、絶妙な刺激をともなって、微妙に鬼若の言う菊の花の蕾をいじってくる。
「あっ、ああ! や、やめ、やめろ! やめてくれ!」
たまらなくなって、敬は叫んだ。
ふうむ……。またも、低い唸り声。
「少しいじらしい気がしますね。この子はこっちは向いてないかもしれません。売り出すにしても、しばらくは本番はやめませんか。もともとこっちの気質はないようですし」
「それをなんとか売れるようにするために、先生を呼んだんですよ。このきかんきな坊主を、男好きにして、自分から腰振って男を誘えるように仕込んでほしいんでね」
おぞましいことを言う瀬津に、敬はこらえきれず不自由な体勢で身体をねじって、罵りの声をあげた。
「だ、誰がそんなことするか! はなせよ! はなせって、この卑怯者ども!」
「先生、かまわないから仕込んでください」
「ふうむ……」
プツリ――!
「はぁっ……!」
そんな音なき音が聞こえた気がして敬は四肢にしびれを感じた。
「う、うう!」
間違いない。敬はきつく目を閉じた。
鬼若の細い、女のように繊細そうな指が、自分の体内に侵入してきたのだ。
(あ、そ、そんな……、そんな!)
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