黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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最後の夢 四

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 気位たかいアベルにとって、こんなふうに嬲られるのは死ぬほどつらいが、なにより、自分に熱い身体を押し付けてくるのが、グラリオンの宦官だというのが、いっそう悔しいのだ。
 肌の色の違う人間、敵国の人間、そして、異教徒。しかも宦官。
 そういう相手に嬲られる状況に、我慢できないでいるのだ。
 グラリオンの後宮でも、蕾と呼ばれる少年宦官たちによって散々はずかしめられはしたが、こういうかたちで嬲られたことはなかった。
 今、まさにアベルは仮の男性器によって閹人に凌辱されているのだ。
 それはなんともいえないほどに侮辱的な気がする。
 アベルは頭を振った。
 臀部、腰、背骨と、どろどろとした濁ったものが体内を這い上がってきて、脳髄まで迫ってきそうだ。
「はぁっ……」
 背後のロロが腰をつよく打ち付けてくる。
「うっ……」
 ついに、アベルの身体は、ロロの攻撃と挑発に反応しはじめた。
「あっ、ああっ……」
 信じられない。あろうことか、宦官の偽の男根によって、身の内にひそむ官能の芽をはぐくまれてしまっている。
 見物人のあいだから、ひびいてくる失笑が、アベルの鼓膜を焼く。 
「ああっ、や、やめ……! もう、やめぇ!」
 あつかましくも背後のロロは、アベルの胸をまさぐる。
「んん……ん!」
 女のように胸を揉まれて、アベルの自尊心ははげしく痛めつけられる。
 汗に濡れた衣の上から、胸の突起物をいじられる恥辱。
 歯をくいしばって耐えても、頬が濡れていくのは止められない。
 しかもこの辱しめに、身体はいっそう昂ぶっていくのだ。
「ああっ、あああっ、」
 客たちに指差され、嘲笑われ、アベルは気が遠くなっていく。
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