黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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魔女二人 五

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 アベルは言葉もなく、嫌悪の視線を籠のなかの楕円の玉に向けた。そして、汚らわしく見るに耐えない、というふうにそっぽを向く。潔癖な乙女のような仕草だった。
「おや、そんな嫌そうな顔をするな。卵は身体に良いというぞ。さぁ、おまえたち、伯爵が卵を味わえるようにお手伝いしろ」
 公爵はアベル両脇の宦官に命じた。宦官たちは、公爵がのぞむようにアベルに卵を受け入れる体勢を取らせようとする。
「なっ……、ば、馬鹿な真似はよせ!」
 無残にもアベルは屈強の宦官ふたりによっておさえこまれ、公爵に背をむける形で、臀部を突き出すという浅ましい姿勢をとらされる。
「よせっ、よさぬか! は、はなせ、はなせ、無礼者!」
 シュル―。
 衣擦れのかすかな音がして、下衣の紐がほどかれていく。
 今や室にいた者全員、固唾かたずを飲んで成り行きを見ている。もちろん、止めるような者は誰もいない。    
 奴隷の身の彼らには止めようがない。それどころか何人かはあきらかに、目に好奇や欲望をこめてアベルのあられもない姿を見ている。
「ああっ」
 はらり、と薄い衣が、花びらが散るように落ちる。
「ううう……」
「ああ、何回見ても、本当に綺麗な身体ね。見てごらんなさいよ、このお尻こそ卵のようだわ。剝きたての茹でた卵みたい」
 うっとりと、そんなことを言いながらアイーシャはアベルの白い臀部を、頬ずりせんばかりに撫でさすった。
「ああっ、さ、さわるな!」
「何を言っているのよ。これは、触るためにあるものよ。こうやって、触って、いじりまわすためにあるものなのよ。ホホホホホ」
 アイーシャという女も、羞恥や慎みなど生まれたときから持ちあわせていないようだ。
 屈辱にぶるぶると震えるアベルの腰を背後から抱きしめ、まさかと思いや、本当に頬ずりした。
「よ、よせ!」
 いたたまれなさそうなアベルの叫び声は、ほとんど悲鳴だ。
「ああ、可愛い。卵を入れるまえに、私が舐めてあげようかしら」 
「や、やめろ!」
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