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宮廷の獣たち 六
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公爵がアベルの右足を引き上げ、強引に身体を反転させたのだ。すごい力だ。
「ああ!」
アベルは台の上に押し上げられるかたちになり、エンリケが驚いているうちに、台上で四つん這いの姿勢を強要されていた。
青白いような月光が、さらに青白く見えるアベルの肌を、かすかに照らす。
真珠のように冷ややかに見える臀部が、武骨そうな公爵の手によって押し上げられる。
「うっ、うう……!」
アベルは苦しい姿勢で必死にあらがっているようだが、しばし拮抗していた公爵の両手とアベルの尻は、やがては手によって、さらに押し上げられていく。
「はぁっ……!」
海の底をおもわせるような室内で、それこそ深海にうずもれていたような真珠を思わせる肌が、恐ろしいほどに妖しく闇に光る。
エンリケは、この闇夜にまぶしいものを見たような錯覚を感じた。
「はぁ……! ああっ、あっ、やめ、やめてくれ!」
公爵の両手が、アベルの尻に圧力をかけているようだ。
アベルは泣きじゃくった。
我知らずエンリケは身体をふるわせていた。
今、見ているものが信じられない。
アベル=アルベニス伯爵が、泣きじゃくっているのだ。
今、ほんの少し先で……、それこそ数歩でたどりつく場所で、世にも淫らな影絵を見せているのは、本当にエンリケの知っているアベル=アルベニス伯爵なのだろうか。
御前試合でエンリケを完膚なきまでに打ちのめした、帝国有数の勇士なのだろうか。
さかりのついた雌犬のような姿勢で、なおもアベルは泣きつづけている。
アベルがあんな格好をしていること自体が、エンリケには信じられない。
グラリオンのできごとは父アビラ子爵から聞いてはいたが、心のどこかでは否定していたのかもしれない。アベルが、自分の知っているアベルが、あれほど淫猥なことをされるわけがない、と。純白の薔薇が、かつて泥に染まっていたことが信じられないのだ。
「ああ!」
アベルは台の上に押し上げられるかたちになり、エンリケが驚いているうちに、台上で四つん這いの姿勢を強要されていた。
青白いような月光が、さらに青白く見えるアベルの肌を、かすかに照らす。
真珠のように冷ややかに見える臀部が、武骨そうな公爵の手によって押し上げられる。
「うっ、うう……!」
アベルは苦しい姿勢で必死にあらがっているようだが、しばし拮抗していた公爵の両手とアベルの尻は、やがては手によって、さらに押し上げられていく。
「はぁっ……!」
海の底をおもわせるような室内で、それこそ深海にうずもれていたような真珠を思わせる肌が、恐ろしいほどに妖しく闇に光る。
エンリケは、この闇夜にまぶしいものを見たような錯覚を感じた。
「はぁ……! ああっ、あっ、やめ、やめてくれ!」
公爵の両手が、アベルの尻に圧力をかけているようだ。
アベルは泣きじゃくった。
我知らずエンリケは身体をふるわせていた。
今、見ているものが信じられない。
アベル=アルベニス伯爵が、泣きじゃくっているのだ。
今、ほんの少し先で……、それこそ数歩でたどりつく場所で、世にも淫らな影絵を見せているのは、本当にエンリケの知っているアベル=アルベニス伯爵なのだろうか。
御前試合でエンリケを完膚なきまでに打ちのめした、帝国有数の勇士なのだろうか。
さかりのついた雌犬のような姿勢で、なおもアベルは泣きつづけている。
アベルがあんな格好をしていること自体が、エンリケには信じられない。
グラリオンのできごとは父アビラ子爵から聞いてはいたが、心のどこかでは否定していたのかもしれない。アベルが、自分の知っているアベルが、あれほど淫猥なことをされるわけがない、と。純白の薔薇が、かつて泥に染まっていたことが信じられないのだ。
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