黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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心砕けて 六

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「ああっ、ああっ、も、もぉ……!」
「どうしたのだ? もう、遂きそうか?」
 笑いながらバルバラが、手の動きを微妙に変えると、アベルは縛られて前かがみの不自然な体勢で、のけぞるようにした。
「ああ……」
 艶やかな肌一面に玉の汗をうかべ、しなやかで若々しい肉体をふるわせ、アベルはもはや恥も外聞もなく嗚咽をこぼす。
「うう……! くぅ……! あっ、はぁぁぁぁ!」
 前回、バルバラは口で責めたときより、さらに時間をかけてアベルを追い詰めていく。
「さすがに俺も疲れてきたな。どうだい、伯爵、そろそろいったん終わるかい?」
「くぅぅぅぅぅぅ!」
 けなげにも、アベルはいじらしいほどに身体をつっぱらせ、バルバラの誘うような問いかけを拒絶する。
「本当に強情だな。そんなに意地をはればはるほど、この先つらい想いをすることになるというのに」
 バルバラの顔にはすこし苛立ちが浮かんできている。
「なんといっても由緒ただしき伯爵家の若様だからな。あんまり苛めるな」
「よく言うな。一番苛めているのは、あんたじゃないか、公爵?」
 公爵は声をあげて笑う。まさに悪魔の哄笑だ。
「まぁ、そろそろいいのではないか? な、アベル、どうだ、もういいか?」
 アベルの前に立つと、右手を伸ばし、白い肌に触れる。
「んんっ!」
 白絹のような肌の上に、ぽつんと咲いた小さな薄紅色の花……というより、まだ蕾のような突起を、公爵は親指と人差し指の二本でつまみあげる。
「んんっ」
 傍で見ているオルティスの目には、公爵がわざと力をいれずに、つまむようにして、実はただ触れているということが見てとれた。
「可愛いな」
 言うや、公爵は身をかがめて、アベルの胸の蕾を吸う。
「ああっ! よ、よせ!」
 アベルが真っ赤になって、目を見張っている。
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