黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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心砕けて 四

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 今頃、朋輩たちは、粗末な天幕のなかであっても、健やかな眠りに入っているのかと思うと、自分はいったいどうしてこんないたたまれない想いに身を焦がしながら突っ立っていなければならないのかと、運の悪さを嘆きたくなる。とんだ貧乏籤を引いた気分だ。
 だが、そう思う一方で、心のどこかでは、この役目を他の男に取られていれば、無念で夜も眠れないだろうと思う自分もやはりいる。
 知らなければ、おだやかな眠りをむさぼれたかもしれないが、こうして見てしまい、知ってしまった今となっては、もはや知るまえの心には戻れない。そんな気がする。
「本当に、いい声だな。よしよし、欲しいか? 待っていろよ、今、こいつであんたを思いっきり満足させてやるぜ。これが、グラリオン王のでないのは残念だろうが、せいぜい王のものだと思って楽しんでくれよ」
 一瞬、公爵の顔に翳が走ったのをオルティスは見た。
「い、いや! いやだぁ……!」
「くくくくく、そら、入れるぞ。動くなよ」
 醜悪な器具が、アベルの禁忌の園にあてがわれる。意外にも、バルバラの手つきは優しげである。
 片手でアベルの尻を押さえるようにして、もう一方の手で責め具をあやつる。
 美肉を割って、飴色めいて光る先端が押し込まれる。
「あっ、ああっー!」
 ぐっ――、と血のかよわぬ道具が、アベルの中心に突きたてられた。
「うう……!」
 後ろ手で縛られているアベルの手が、見た目にも痛いほどに握りしめられ、ふるえている。
 バルバルは、ゆっくりと膝を折り、さきほどアベルの前方をいたぶったときと同じように、ひざまずくような姿勢になる。
 前回とおなじく、見た目にはアベルの尻にぬかづくようではあるが、実際にはアベルを引きずりまわしているのだ。
 ゆっくりと、だが巧妙な手つきで、バルバラは道具をさらに押し込む。
「あっ、ああ……、よ、よせ、やめろぉ!」
 かなりほぐされていたので、本来なら狭隘きょうあいなはずの道も、今はもう侵入物をこばめきれないでいる。園の門はすでにひらかれていたのだ。
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