96 / 184
心砕けて 二
しおりを挟む
いや、もともとはアベルだとて五情ゆたかな人間だったはずが、過酷な経験で心が石のようになっているのだ。その石になっていた心を、二人の悪党は叩き壊そうとしている。だが、アベルの石化した心をこわしたところで、この二人が得るものはなんなのだろう……。
オルティスはふと自らに問うてみる。
砕けたアベルの心の欠片だろうか。そうして満足できるのだろうか。
やはりオルティスのような凡庸で、それだけにまっとうで心健やかな男には、公爵やバルバラのように、どこか心が壊れている人間を本当に理解することはできない。ドミンゴのような男の異常な心理も、また完全にわかることはなかった。
「うう……!」
縛られているアベルは公爵の手によって自由をさらにうばわれ、バルバラののぞむように、彼女に向かって臀部を突き出す、というもっとも屈辱的な姿勢を取らされた。
「よ、よせ! さわるな! 無礼者!」
「くくくくく。ああ……、なんて可愛いお尻だねろうね。俺もずいぶん男とも女とも遊んだけれど、これほどうまそうな身体は見たことがないな。見ろよ、この尻の白い、艶やかなこと……。さぞ異国の後宮ではもてたことだろうな。なぁ、伯爵、」
「あうっ!」
バルバラがいきなり人差し指を敏感な箇所につきたてたのだ。先ほど、ほぐされていたからよかったものの、そうでなければ、激しい苦痛をアベルに与えたろう。
「ここで……、どれだけの男を受けていれたのだ?」
「ああっ!」
バルバラが指の動きを変えたらしく、アベルが悲鳴をあげる。
「何人だ? 五人、六人? 十人か? もっとか?」
「ち、ちがう!」
アベルは息をあらく吐きながら、必死に首を横に振る。
「強情だな。今さら純情ぶってどうする?」
「よ、よせ! あっ、ああっ……」
オルティスはふと自らに問うてみる。
砕けたアベルの心の欠片だろうか。そうして満足できるのだろうか。
やはりオルティスのような凡庸で、それだけにまっとうで心健やかな男には、公爵やバルバラのように、どこか心が壊れている人間を本当に理解することはできない。ドミンゴのような男の異常な心理も、また完全にわかることはなかった。
「うう……!」
縛られているアベルは公爵の手によって自由をさらにうばわれ、バルバラののぞむように、彼女に向かって臀部を突き出す、というもっとも屈辱的な姿勢を取らされた。
「よ、よせ! さわるな! 無礼者!」
「くくくくく。ああ……、なんて可愛いお尻だねろうね。俺もずいぶん男とも女とも遊んだけれど、これほどうまそうな身体は見たことがないな。見ろよ、この尻の白い、艶やかなこと……。さぞ異国の後宮ではもてたことだろうな。なぁ、伯爵、」
「あうっ!」
バルバラがいきなり人差し指を敏感な箇所につきたてたのだ。先ほど、ほぐされていたからよかったものの、そうでなければ、激しい苦痛をアベルに与えたろう。
「ここで……、どれだけの男を受けていれたのだ?」
「ああっ!」
バルバラが指の動きを変えたらしく、アベルが悲鳴をあげる。
「何人だ? 五人、六人? 十人か? もっとか?」
「ち、ちがう!」
アベルは息をあらく吐きながら、必死に首を横に振る。
「強情だな。今さら純情ぶってどうする?」
「よ、よせ! あっ、ああっ……」
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説


ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる